『さよならノワール』『大追跡』『VIVANT』 多様化する新時代の警察ドラマ

 警察ドラマといえば、現場で犯人を追いかける捜査一課が主役となることが多かったが、近年はさまざまな警察組織を舞台にした物語が描かれている。元刑事と心理学者が所属する犯罪被害者支援室、デジタル捜査を生業とするSSBC強行犯係、国際的なテロ組織を追う警視庁公安部。今夏、始まった三者三様の警察ドラマでは、それぞれ立場は違えど、現代で巻き起こる難解な事件に対して、懸命に立ち向かう人々の姿が映し出されている。

『さよならノワール』

『さよならノワール』©︎フジテレビ

 彼らが対峙するのは事件の犯人ではなく、被害者や遺族といった心に見えない傷を負った人々。ドラマ『さよならノワール』(フジテレビ系)は「犯罪被害者支援室」という実在する部署を舞台に、元暴力団対策係の班長と空気が読めない心理学者がバディを組む異色の警察ドラマだ。

 犯人の逮捕を第一とする刑事課と対立することも辞さない警部補の黒木を演じるのは『新宿野戦病院』(2024年/フジテレビ系)や『ムショラン三ツ星』(2026年/NHK総合)など、独自のキャラクター性で物語を牽引してきた小池栄子。本作では、NHK連続テレビ小説『ばけばけ』(2025年度後期)や夜ドラ『替え玉ブラヴォー!』(2026年/NHK総合)でユーモアと意志の強さを両立させる役柄を好演してきた北香那とともにタッグを組む。 

『さよならノワール』©︎フジテレビ

 現場で培った冷静さと真摯な思いで被害者と接する黒木(小池栄子)と、知識と情熱を兼ね備えながらも、コミュニケーションに難がある白石(北香那)。アプローチの異なる2人は絶妙に噛み合わない会話を繰り広げながらも、犯罪被害者や遺族がもう一度前を向けるように言葉を尽くす過程で、次第に仲を深めていく。味方良介、岡山天音、眞島秀和、濱尾ノリタカなど、魅力的なメンバーがそろう西池袋署刑事課の面々が躍動する姿も必見だ。

 そして、本作の脚本を務めるのは『白い巨塔』(2003年/フジテレビ系)を筆頭に、数々の話題作を世に送り出してきた井上由美子。魅惑のストーリーが紡がれるなかで浮かび上がる残酷な真実と一筋の希望は、どのような未来を照らし出すのだろうか。黒木の過去や白石の成長も見逃せない。

『大追跡〜警視庁SSBC強行犯係〜』

『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~』Season2©テレビ朝日

 インターネットやSNSの発達によって、犯罪の手口がより複雑化している現代。大森南朋、相葉雅紀、松下奈緒がトリプル主演を務める『大追跡〜警視庁SSBC強行犯係〜』(テレビ朝日系)では、捜査支援分析センター“SSBC”のなかでも、凶悪犯罪を専門に担当する「SSBC強行犯係」にスポットライトが当たる。現場に赴くのではなく、パスコード解析や地理的プロファイリングなどのデジタル捜査を駆使して、防犯カメラ映像をくまなくチェックしながら事件解決の糸口を見つける姿は新鮮だった。

 ノンキャリア刑事の伊垣(大森南朋)と伊垣の部下でありながら、内閣官房長官を父に持つ中途採用のキャリア官僚・名波(相葉雅紀)。正反対の2人がコンビを組んで師弟関係を育むなか、現場を走る捜査一課とはたびたび対立することに。伊垣の元妻で捜査一課主任の遥(松下奈緒)や一課長の八重樫(遠藤憲一)とのお馴染みの攻防も本作の見どころのひとつだ。

『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~』Season2©テレビ朝日

 Season2ではアメリカ留学から帰国した名波が、SSBC強行犯係に電撃復帰を果たす。早速、第1話では「遠隔視線検知ソフト」を利用して、犯人特定につながる情報を掴んでおり、捜査一課のしもべに逆戻りしていたSSBC強行犯係に再び輝きをもたらした。変わらず在籍している個性豊かなSSBCのメンバーとともに、より成熟した伊垣と名波のコンビが事件に立ち向かう姿を楽しみにしたい。

※次ページに『VIVANT』第1シーズンのネタバレを含みます

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