宮澤エマが作品に与える安心感 『マイ・フィクション』で示す“求め続けられる俳優”の技量
7月期ドラマが続々スタートした。恋愛ドラマ、医療ドラマ、刑事ドラマ……と、さまざまなジャンルが並ぶ中でも、ひときわ異彩を放っているのが『マイ・フィクション』(ABCテレビ・テレビ朝日系)だ。
舞台は、事件件数ゼロ・連続1100日を誇る、不自然なほど平和な町「森沼ネクスタウン」。介護士の伊川正樹(玉森裕太)は、妻・真弓(宮澤エマ)と愛鳥のピョートルと穏やかな日々を送っていた。しかし、ある日、謎の男・津村大輔(野村周平)と遭遇し、激しい頭痛に襲われた伊川は川へ転落。1週間後に目を覚まし急ぎ我が家へ向かうが、そこで待っていたのは、自分を忘れた妻と、「伊川正樹」として生活する同僚・多田義孝(ジャンボたかお)だった。
記憶改変を思わせる展開はSF作品のようで、「考察もの」の中でも一線を画した不気味さを放つ。SNSでは、すでに熱い考察合戦が始まっている。
この不穏な世界観の中、主人公の妻・真弓を演じる宮澤エマの姿を見て、どこかほっとしたドラマファンは少なくないはずだ。脳内をかき乱されるような感覚に陥っている視聴者にとって、彼女が画面に現れた瞬間に覚える安堵感は、作品に対する大きな信頼感へとつながっている。
思えば、近年の宮澤の活躍ぶりは目覚ましい。今年に入ってからは、1月期、4月期、そしてこの7月期と、途切れることなく毎クール話題のドラマにキャスティング。現在放送中のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』にも、豊臣兄弟の姉・とも役として出演している。
ともは、兄弟に厳しくあたるしっかり者で、負けん気の強い女性だ。しかし、弟・秀吉(池松壮亮)によって政治の道具として利用され、我が子と離れ離れにされるという理不尽な選択を迫られる。過酷な状況に直面しながらも気丈に振る舞う一方で、離れて暮らす子の様子を聞いて流した一筋の涙は、言葉以上に胸に迫る母親の痛みを伝えていた。