中島健人だから成立した『ラブ≠コメディ』 スター性と人間味が重なる奇跡のハマり役に

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、中学生の時に『Sexy Zone CHANNEL』(通称『セクチャン』/フジテレビTWO)にどハマりしていた佐藤が『ラブ≠コメディ』をプッシュします。

『ラブ≠コメディ』

「話題だけじゃこの世界消えてくんだよ」
「本物にならなきゃ消費されて終わりなんだよ」

 『ラブ≠コメディ』における神崎麗司というキャラクターは、中島健人だからこそ成立した役である。劇中で“俳優”神崎麗司として発せられるセリフの一つひとつが、気づけば中島本人の言葉として聞こえてくる。アイドルとして、俳優として、そして“ケンティー”として、長年エンターテインメントの最前線を走り続けてきた中島だからこそ、神崎麗司=中島健人として発せられる言葉に不思議な説得力が宿るのだ。

 

 本作は、“ラブコメ嫌い”になってしまった人気俳優・神崎麗司(中島健人)が主人公。「360度全方位イケメン」と呼ばれ、これまで数々のラブコメ作品で主演を務めてきた麗司は、30歳を迎えたことをきっかけに「重厚な作品で俳優として評価されたい」と考えるように。しかし、次に届いたオファーもまた王道ラブコメ。しかも相手役は人気アイドル・南風美里(長濱ねる)だった……。最初は反発していた麗司だったが、美里や作品づくりに向き合う中で、自分自身の仕事やエンターテインメントの持つ力を少しずつ見つめ直していく。

 皮肉なことに(?)、ラブコメから抜け出したい神崎麗司について語る筆者が、初めて中島健人の出演作に触れたのもラブコメだった。映画『黒崎くんの言いなりになんてならない』である。原作漫画が大好きだった筆者は、「いくら中島健人でも、ドS王子・黒崎くんの実写化は無理でしょ……」と、正直なところ半信半疑だった。しかし、中島演じる黒崎くんは想像以上のハマり役で、Sexy Zone(現:timelesz)による主題歌「Make my day」の〈オレをスキになれ! Make my day〉という中島パートで見事にハートを撃ち抜かれてしまった。

 そんなこんなで中島の出演作をたびたび追いかけてきたが、本作で改めて思ったのは、中島は人間味を見せるのが本当にうまいということだ。麗司は、ラブコメへの諦めや焦りから、少しひねくれた性格になってしまった人物。相手の言葉にふんっと鼻を鳴らしたり、どこか斜に構えた態度を取ったりするのだが、それがまったく嫌味に見えない。むしろ、その奥にある不器用さや葛藤が少しずつ見えてくるたびに、どんどん愛着が湧いてくる。

 そして何より、中島が持つ二次元の王子様のような圧倒的スター性と、「実はこういう人なのかも」と思わせる等身大の人間らしさを自在に行き来するバランスが絶妙だ。その魅力をここまでストレートに味わえる作品も、なかなか珍しいのではないだろうか。

 余談だが、個人的に神崎麗司は、芸能界の光と影を知り尽くした『【推しの子】』の星野アクアともどこか重なって見えた。以前から「実写版アクアを演じるなら中島健人しかいない!」と勝手に思っていた筆者としては(もちろん櫻井海音のアクアも最高だった!)、本作のキャスティングは文句なしの100点満点。神崎麗司という役は、中島健人だからこそ、ここまでリアルな存在としてスクリーンに立ち上がったのだと改めて思う。

■公開情報
『ラブ≠コメディ』
全国公開中
出演:中島健人、長濱ねる、板谷由夏、塩野瑛久、本多力、前野朋哉、今野浩喜、野村麻純、宮崎吐夢、磯山さやか、岩井拳士朗、信川清順、今野大輝(B&ZAI)、菊田竜大(ハナコ)、三石琴乃、光石研、財前直見
監督:紙谷楓
脚本:大北はるか
主題歌:中島健人「Fiction Love」(Sony Music Labels Inc.)
制作プロダクション:共同テレビ
製作:ストームレーベルズ
配給:ストームレーベルズ、ライブ・ビューイング・ジャパン
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