末澤誠也、俳優としての強みは“人間味”? 実写版『おそ松さん』愛される長男像を深掘り
末澤誠也(Aぇ! group)が演じるおそ松は、だらしなくて、どうしようもなくて、情けない。けれど、なぜか放っておけない。現在公開中の映画『おそ松さん 人間クズ化計画!!!!!?』で末澤が体現しているのは、赤塚不二夫作品らしいナンセンスな笑いの中にある、どうしようもない人間臭さだ。
『おそ松さん』のような作品を実写で成立させるのは、かなり難しい。少しでも加減を間違えれば、ただ大げさに見えてしまうからだ。だが、末澤のおそ松は、バカバカしいことを全力でやっているのに、ちゃんとそこにいる人物として見える。笑いに振り切りながらも、人間味が残っているところに説得力がある。
末澤はこれまでも、完璧な二枚目というより、どこか不器用で、少し面倒くさい人物を印象的に演じてきた。『ボーイフレンド降臨!』(テレビ朝日系)では、黒瀬顕介役として、プライドの高さと空回りする可笑しさを持つ青年を好演。『彼女と彼氏の明るい未来』(MBS)では、青山一郎役で連続ドラマ単独初主演を務めた。恋人の過去を知ってしまったことで、嫉妬や不安、情けなさに振り回されていく主人公を、末澤は美化しすぎずに演じていた。器の小ささも、余裕のなさも、見ていて少し痛い。でも、その痛さがあるからこそ人間味がある。男の情けなさを隠さずに見せられることは、俳優として大きな強みだ。
その流れで見ると、今回のおそ松役は末澤の持ち味がかなり濃く出た役柄だと言える。公式パンフレットで末澤は「おそ松は一番普通っぽいんですよね。長男としてのポジションがありながら寂しがり屋なところがキャッチーな部分だなと思ったので、愛されるように演じられたらと思って臨みました」と語っている。実際に映画を見て強く感じたのだが、この“一番普通っぽい”という捉え方が、劇中のおそ松にはしっかり反映されていた。
おそ松は、6つ子の長男でありながら、決して頼れる兄貴ではないし、むしろ誰よりもだらしなく、欲望に忠実で、すぐ調子に乗る。そんな普通っぽさの中に、だらしなさや寂しがり屋な一面、愛されたい気持ちをどうにじませるか。末澤はそこを、表情の細かな変化で見せていたのが印象的だった。