ホセ・ルイス・ゲリン『よき谷の物語』予告編公開 バルセロナ郊外の人々を見つめる

 7月3日に公開されるホセ・ルイス・ゲリン10年ぶりの新作長編ドキュメンタリー『よき谷の物語』の予告編が公開された。

 『シルビアのいる街で』を手がけ、同じスペイン出身のヴィクトル・エリセ監督に「現代スペインで最も優れた映画作家」と言わしめたゲリン監督。本作は、寡作ながら劇映画とドキュメンタリーの垣根を飛び超える作品を手がけ続ける彼の『ミューズ・アカデミー』以来10年ぶりの新作長編となる。

 登場人物は、実際にバルセロナ郊外の集落、バルボナ地区に暮らす住民たち。地元で長年生活してきた者はもちろん、インド、ジャマイカ、ロシア、ウクライナなど世界中から集まってきた人たちを、バルセロナ出身のゲリンがインタビューするところから始まり、3年の歳月をかけ、愛情を込めて彼らの生活をフィルムに収めた。描かれるのは、亡き妻を思い涙する老人、戦火から逃れてきた母娘、植物に話しかける果樹園の家族、ここではないどこかを夢見る若者。そして都市計画や環境問題、世代やアイデンティティをめぐる葛藤など全世界に共通する問題。みなが住むバルボナの歴史が鮮やかに綴られ、いつしか観る者を過去、現在、未来までつながった時間の旅へと誘う。

 スペイン、バルセロナ郊外に位置するバルボナ地区。“よき谷”と名付けられたこの場所は川や線路に囲まれ、開発から取り残された陸の孤島でありながら、大都市の近くとは思えないほどの豊かな自然に恵まれた理想郷のようでもある。ここには20世紀半ばから移り住んだ住民の家族と、最近になってやってきた新世代の移民たちが共に暮らしている。文化や生活スタイルは異なるものの、子供たちはともに川で遊び、誰もがよく食べて飲んで、歌い、踊り、ひとときの安らぎを得る。そんな都会のオアシスに、新しく鉄道増設の計画が持ち上がった。住民説明会が開かれ、一部の人々は立ち退きを迫られるが……。

『よき谷の物語』予告編

 公開された予告編には、都市開発が進められ「昔は良かった」と語る地元の住民たちや集合住宅に住む者たち、老人たちや子供たちの姿、行き交う電車や川のせせらぎの音、街と共存する自然の風景が切り取られている。都市計画や環境問題、世代やアイデンティティをめぐる葛藤など全世界に共通する問題が浮き彫りになりつつも、歌い踊り、夏の日に川遊びをし、家族や友人たちと語らう、日々のすみずみに宿る美しさを確かにとらえた映像となっている。

 また、『よき谷の物語』の公開を記念して、『シルビアのいる街で』のリバイバル上映も決定している。

■公開情報
『よき谷の物語』
7月3日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー
監督・脚本・編集:ホセ・ルイス・ゲリン
撮影:アリシア・アルミニャーナ
提供:マーメイドフィルム
配給:コピアポア・フィルム
宣伝:マーメイドフィルム、VALERIA
後援:スペイン大使館、インスティトゥト・セルバンテス東京
協力:山形国際ドキュメンタリー映画祭
スペイン、フランス/125分/カラー/ヨーロピアンビスタ/原題:Historias del buen valle/英題:Good Valley Stories
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