『風、薫る』“りん”見上愛の見習いは次のステージへ “千佳子”仲間由紀恵が与えた“教え”

「私が手術室でもずっとおそばにいます」

 NHK連続テレビ小説『風、薫る』第41話では、いよいよ千佳子(仲間由紀恵)の手術が迫ってくる中、毅然とした態度を見せるりん(見上愛)の姿からスタートした。

 りんが最初に受け持った園部(野添義弘)は、りんの挨拶を無視し、傷口を触るなどやってはいけないことをりんが注意すると逆に怒鳴り、りんとのコミュニケーションをことごとく受け付けなかった。それが原因となり園部の傷は悪化し、緊急手術に。無事に退院することはできたが、りんには思うように看護できなかったという悔しさが残っていた。

 そのときに、バーンズ(エマ・ハワード)から指摘されたのは、りんが患者のためを思っているのではなく「患者から感謝されたい」という気持ちが先行していたのではないかということだった。もちろんその気持ちだけで看護をしていたわけではないだろうが、即座に否定もできないりんは、「たとえ罵られようとも患者が回復すればそれでいいのです」と厳しい言葉をかけられていた。

 そこから一転して、千佳子とはよいコミュニケーションが取れている。武家出身の気高さがほかのナースや看病婦、医師たちには気難しさに映り、千佳子の心の中では家族にも本音を言えない頑固さに変わっていた。りんは自分が武士の娘だったこともあり、千佳子の複雑な心のうちを少し理解できたのだろう。表情や声の些細な変化を見逃すことがなかった。この変化に気がつけるというのは、「観察」がよくできているということである。バーンズの教え、ひいてはナイチンゲールの教えがしっかりとりんに根付いている。そして、必要以上に仲良くするわけではなく、適切なときに適切な声かけをしてきたりん。手術前夜の今日も、不安に感じているかもしれない千佳子のために、冒頭の一言を宣言しにやってきたのだろう。

 千佳子は、夕映えを見ながらはらはらと涙を流していたが、りんの言葉で落ち着きを取り戻し、「知らなかったわ。こんなに楽になるものなのね。偽りのない自分の本当の気持ちを知っている人が一人いるということは」と安心した声を出す。そして、りんの手を握りながら「良かったわ。あなたが看護婦で」と感謝を述べた。さらに手術後は「ありがとう。あなたがそばにいてくれたおかげで 私、さみしくありませんでした」とまだはっきりとはしていない意識の中で呟いた。りんの本当に理想とする看護が体現された瞬間だった。

 バーンズの言う通り、感謝をされるためだけに看護をしているのではない。だが、感謝されたら喜んではいけないわけではない。いつもの中庭で、風が木々を揺らす音を聞きながらりんは感慨にふける。「看護婦になりたい」という志を抱いたときに描いていた目標は達成することができた。その先に見えてきたのは、新しい目標だった。

 手術室という新しい“現場”で見たのは、看病婦のフユ(猫背椿)がテキパキと手術介助する姿だった。看護は「自分の手を患者さんのために使うこと」。これまではその手で患者さんの手や肩に触れ、介助することに使ってきた。でも、フユのように実際に病気を治そうとする医師たちの介助を通して患者さんのために使うこともできる。その“手”の可能性は無限大だ。

 それを聞いた直美(上坂樹里)は「そんなの前から思ってるじゃない」といつもながらのぶっきらぼうな様子でりんを肯定。りんもそれがわかっているから、笑いながら「直美さん、ありがとう」「何にもしてくれなかったけど、いてくれてよかった」と軽口まじりに絆を確かめていた。

 りんの活躍もあり、「見習生」は病院から信頼され、梅岡看護婦養成所は下級生を募集することに。「医者、看病婦、患者……。この実習でその全てに看護婦の仕事を認めてもらわないといけない」というりんたちの別の壮大な目標も少しは達成できたことになる。さて、次に彼女たちが向かうのはどのようなステージなのだろうか。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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