『虎に翼』から『風、薫る』へ 林裕太がシマケンの親友役で示す確かな実力
NHK連続テレビ小説『風、薫る』のヒロイン・りん(見上愛)と直美(上坂樹里)ら看護婦養成所一期生は、看護婦見習いとして帝都医科大学附属病院での実習をスタートさせた。実際の看護では壁にぶつかることも多く、悩みながら奮闘するりんと直美たち。その頃、日曜日にりんに会えることを密かに楽しみにしている様子の“シマケン”こと島田健次郎(佐野晶哉)も、小説の執筆活動において悩みを抱えていた。彼の親友・槇村太一(林裕太)は、そんなシマケンの背中を押し、悩みを解消する手助けをしようと尽力する。
書生の槇村は、シマケンと何でも言い合える間柄で、シマケンの今後にも影響を与える存在になる模様。りんたちとの関わりも深まり、これからさらに出番が増えていくことになる、個性が強そうな槇村を演じているのは、近年大活躍している若手俳優の林裕太。2020年、TVドラマ『そのご縁、お届けします-メルカリであったほんとの話-』(MBS・TBS)に出演し、俳優業を開始した林は、翌年の2021年には『特捜9』(テレビ朝日系)や『顔だけ先生』(東海テレビ・フジテレビ系)など5本のドラマに次々と出演。
同年、映画『草の響き』にも出演し、スクリーンデビューながら、複雑な少年時代を送るキャラクターを好演した林。本作での金髪姿はインパクトがあり、彼の演技は強く印象に残った。以降も、休みなくTVドラマと映画に出演し続け、多くの人の目と心に留まる俳優として認識されていった。2022年の『間借り屋の恋』では映画初主演を果たし、3人の女性に恋をする青年を瑞々しく演じた。
河合優実主演の映画『少女は卒業しない』(2023年)では、『風、薫る』にも出演している中井友望や藤原季節と共演し、等身大の高校生をナチュラルに体現。2024年には、NHK連続テレビ小説『虎に翼』に出演し、幅広い層に知られることとなった。林は、ヒロインの寅子(伊藤沙莉)が新潟地裁本庁で初めて担当した暴行事件の加害者を演じた。『風、薫る』は、朝ドラ出演2作目となったが、今回の槇村役は全国の朝ドラファンの注目をより集めるに違いない。
大きな話題を呼んだ、2025年の松坂桃李主演の日曜劇場『御上先生』(TBS系)にも出演した林。岡田将生が演じる槙野の重い過去や葛藤のきっかけとなるキーパーソンに扮し、短い出演ではあったが、心に刺さる演技を披露した。そして、同年、林にとって大きな出来事が起こる。映画『愚か者の身分』に出演し、「第30回釜山国際映画祭」で、主演の北村匠海と共演の綾野剛と共に、3人そろって「The Best Actor Award(最優秀俳優賞)」を受賞したのだ。
林が演じたのは、劣悪な環境で育った少年・マモル。彼は同じような境遇のタクヤ(北村)に拾われ、兄弟のように親しくなるが、タクヤと一緒に、闇バイトを行う組織の手先になってしまう。タクヤは、闇ビジネスの世界に入るきっかけとなった兄貴的存在の梶谷(綾野)の手を借りて、マモルと共に闇の世界から抜け出そうとするが、容易ではなかった。本作で林は、演技派俳優の北村と綾野に匹敵するような名演技を見せ、観客を魅了し心をつかんだ。それが、釜山国際映画祭で高く評価されたのだろう。
2025年はほかにも、映画『君の顔では泣けない』や、TVドラマ『なんで私が神説教』(日本テレビ系)でも活躍した林。最近では、『冬のなんかさ、春のなんかね』(2026年/日本テレビ系)に出演し、杉咲花が演じる主人公の弟役を快演。姉と弟の日常的な会話をリアルに表現し、本物の姉弟のようだと評判を呼んだ。10月期には、池井戸潤原作のドラマ『俺たちの箱根駅伝』(日本テレビ系)に出演予定なので、今から楽しみだ。
さらに、2026年秋公開予定の映画『すべて真夜中の恋人たち』への出演も発表されている。岸井ゆきの主演の本作は、第79回カンヌ国際映画祭のある視点部門へ出品されているので、また林の演技が海外にも届くことになり、とても喜ばしい。目覚ましい進化を続けている若手俳優・林裕太が、朝ドラ『風、薫る』で全国のお茶の間を席巻するのを、今後も見守りたい。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK