高橋一生は演じ続けることで進化し続けている “これまで”を堪能できる『リボーン』の魅力

 『リボーン ~最後のヒーロー~』(テレビ朝日系)は、俳優・高橋一生を堪能するドラマだ。

 『リボーン』において、高橋一生は生活も性格も正反対の人物を演じる。1人は「時代のカリスマ」と称される新興IT企業の社長・根尾光誠。もう1人は東京・下町の寂れたシャッター商店街に店を構えるクリーニング店の跡取り息子・野本英人だ。

『リボーン ~最後のヒーロー~』©テレビ朝日

 光誠は、何者かに階段で突き落とされ転落死したはずが、目覚めたらそこは2012年。なぜか同じ顔をした、あかり商店街の商工会会長・野本英治(小日向文世)の息子・英人になっていた。本作は、そんな状況に当惑しながらも、気づけば商店街を盛り上げようと奮闘する「英人になった光誠」の話だ。

 『ショムニ』シリーズ(フジテレビ系)や『華麗なる一族』(TBS系)などの名作を手掛けてきた橋本裕志の脚本は、2012年以降の時代の変化を巧みに振り返っていく。そして、異なる環境で育ったゆえに性格が正反対の、まるで生き別れの“兄弟”のような光誠と英人の2人の人生が、変化しながらも徐々に交わっていく軌跡を温かく描いている。

『岸辺露伴』『脛擦りの森』で魅せる、新たなステージ

『脛擦りの森』©「脛擦りの森」プロジェクト

 全く異なる2つの人生、2つの物語の主人公を見事に演じ分けるのが高橋一生である。

 『おんな城主 直虎』(NHK総合)や『カルテット』(TBS系)で視聴者の心を鷲掴みにして以降、『岸辺露伴は動かない』シリーズ(NHK総合)の岸辺露伴役という、今後もライフワークとして演じ続けるであろう運命的な役柄と出会い、現在、彼は新たなステージに立っているように思う。

 現在、2つの主演映画『脛擦りの森』と『ラプソディ・ラプソディ』が上映中だ。『岸辺露伴は動かない』シリーズの渡辺一貴監督が手掛ける『脛擦りの森』では、森の奥深くで暮らす謎の老人を演じた。その土地に古くから伝わる妖怪伝承、つまりは怪異を描いた本作は、『岸辺露伴』シリーズとの連なりを感じさせる。

 主人公が多くを語らない本作において、観客は彼の表情の変化をつぶさに見つめ、そこにある人生を想像せずにはいられない。私は、諦めつつも愛を受け入れ、生活を積み重ねてきたであろう男の一生を思うと共に、そこに1つの役を「演じ続ける」俳優そのものの心のうちを見た気がした。

飯豊まりえの“最強”と堀田真由の“最恐” 『泉京香は黙らない』の面白さに“舌なめずり”

あまりの面白さに舌を巻いた。『岸辺露伴は動かない』シリーズの最新作となる『泉京香は黙らない』(NHK総合)のことである。 ※本…

 また、5月4日に放送された『岸辺露伴は動かない』シリーズ最新作『泉京香は黙らない』(NHK総合)は、原作者・荒木飛呂彦の脚本協力を得て、監督集団「5月」の関友太郎・平瀬健太朗の2人が書き下ろしたオリジナルストーリーだ。岸辺露伴の担当編集・泉京香(飯豊まりえ)を主人公に、ICレコーダーを巡る彼氏からの小さな束縛から始まり、人の「声」を奪い永遠に支配しようとする怪異と対峙する話を描いたこの異色作は、『岸辺露伴』シリーズ」に新たな風を吹き込んだと言える。

 ここでも高橋一生は、序盤と終盤の2シーンのみという限られた出演時間ながら、岸辺露伴としてただそこにいるだけでシリーズの世界観そのものを形作り、作品の枠組みとして君臨していた。

関連記事