『GIFT』の世界を感じるために必要なもの “BT”越山敬達が示した支えることの意味
「昨日の夢は今日の希望であり、明日の現実となる」(ロバート・ゴダード)
5月3日放送の『GIFT』(TBS系)第4話では、 “BT”こと坂東拓也(越山敬達)の葛藤が描かれた。
車いすラグビーに年齢制限はない。「ブレイズブルズ」には幅広い年代の選手が所属していて、最年少メンバーが拓也である。練習中に衝突して転倒した拓也を、母の陽子(西尾まり)は連れて帰る。陽子は、拓也の練習参加を禁止し、スマートフォンを取り上げた。
拓也は中学時代にスノーボードの事故で足に障がいを負った。合宿に行くのを止めなかったことを陽子は悔いていて、そのことが拓也に対する過保護な行動となって表れていた。
メンバーの課題を宇宙的な発想で解決してきた伍鉄(堤真一)は、坂東親子の問題を星と衛星の関係としてとらえる。「周りを回る衛星があまりにも大きすぎること。重力が強すぎて中心を喰ってる」。拓也に対する陽子は、木星を回るガニメデのような巨大な衛星であり、衛星が星の成長を止めてしまうなら問題である。そして、伍鉄が導き出した答えは、両者を生かすことで「新たな軌道を構築」することだった。
伍鉄が洞察したように、制動装置と新たな軌道の構築をドラマは描いていく。折しも上位チームが出場するカップ戦にシャークヘッドが出場辞退したことで、ブルズが参戦することに。復活した涼(山田裕貴)はエースの役割をまかされ、チームメイトを引っ張る。そんなとき、圭二郎(本田響矢)のラグ車が故障するアクシデントが発生した。
障がいを持つ人と周囲の関係を第4話では描いていた。人は誰もが、何らかの形で周囲のサポートを得ながら社会生活を送っている。障がいのある人も例外ではなく、必要な配慮やサポートを受け入れることは決してネガティブなことではない。健常者と障がい者が一方的な『助ける・助けられる』の関係ではなく、共に社会を作るパートナーとしてどう関わっていくべきか。支えることの意味をあらためて問い直したのが第4話だった。
ラグ車の修理を請け負う高水(田口浩正)はクセの強い人物である。ラグ車を点を取るための道具と言い放つ圭二郎に「帰れ。二度とその面見せんな」と追い返した。車いすや装具の業者は、障がいを持つ人にとって不可欠の役割を担っている。身内であり味方の高水は、決して甘い態度を取らない。しかし、それは本人のためであることが後にわかる。
『GIFT』は障がい者と家族の関係に光を当てている。涼と君代(麻生祐未)、圭二郎と両親、そして拓也と陽子だ。圭二郎の父・礼二(岡安泰樹)はバイク屋を営んでいたが、圭二郎がバイクの事故で怪我をしたことで自分を責めていた。そこから、バラバラになった家族がふたたび一つになる過程が第2話で描かれた。
拓也の場合は、親が危険な車いすラグビーをやることに反対していて、“重力”が強すぎる状態だ。重力から解き放たれたい子どもと、心配で手元にとどめておきたい親の思いは折り合いがつかない。伍鉄が伝えた車いすの車輪のように、同じ目線で同じ方向を向くことによって、互いを生かすことができる。支えることは支え合うことでもあると伝えていた。
今作について、視聴者の反応はさまざまだ。総じて低調といえるかもしれない。群像劇で登場キャラクターのそれぞれが問題を抱えていて、視点が分散しがちではある。しかし、それは本質ではない。本当の問題は、観る側が今作を自分ごととして受け止めることができていない点にある。
たしかに車いすラグビーは競技人口から言うとマイナーで、身近に接点がない人にとっては、ドラマのエピソードが、別の銀河系で起きている、自分とは無関係な出来事のように感じられてしまうのは仕方ない部分もある。しかし、それは大きな誤解だ。
たとえば、高水の工場のように、車いすの修理をする工房や障がい者の装具を製作する会社は身近なところにもある。ただ、社会の構造によって見えにくくなっているだけだ。小規模で目立たないだけで、もしなかったら障がいを抱えた人や高齢者は日常生活に困ってしまうだろう。市町村の体育館に行けば、定期的にパラスポーツは行われている。
私たちは同じ地面の上を進んでいて、そのことを知るために、私たちは一度、自分とは異なる視座に立ち、その世界を想像してみる必要がある。ラグ車に乗った陽子が、拓也の見ている世界を知ったように。ドラマ『GIFT』は、私たちが生きるこの社会の解像度を上げ、これまで見えていなかった新たな軌道を発見させてくれる作品なのだ。
第4話後半で、人香(有村架純)と圭二郎の因縁が示唆され、また、昊(玉森裕太)の母・広江(山口智子)と伍鉄の浅からぬ縁も明かされた。挑戦的な脚本によって、ドラマの宇宙がさらににぎやかになりそうだ。
■放送情報
日曜劇場『GIFT』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:堤真一、山田裕貴、有村架純、本田響矢、細田善彦、細田佳央太、円井わん、越山敬達、八村倫太郎、やす(ずん)、水間ロン、冨手麻妙、ノボせもんなべ、杢代和人、宮﨑優、生越千晴、町田悠宇、澤井一希、中山脩悟、田口浩正、西尾まり、真飛聖、麻生祐未、菅原大吉、吉瀬美智子、玉森裕太、安田顕、山口智子
脚本:金沢知樹
企画・演出:平野俊一
演出:加藤尚樹、伊藤弘晃
プロデューサー:宮﨑真佐子、内川祐紀
協力プロデューサー:中澤美波
監修・協力:一般社団法人日本車いすラグビー連盟
製作著作:TBS
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/GIFT_tbs/
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