上坂樹里の地毛をそのまま使用 『風、薫る』直美の決意の断髪の理由が明らかに

 NHK連続テレビ小説『風、薫る』第23話は、不協和音でいっぱいの養成所内の様子を見かねて、りん(見上愛)が奮闘する。

 「まだ船の上」だと言う看護の教員がやってくるまで、ナイチンゲールの書籍『NOTES ON NURSING(看護覚え書き)』を読了し、最後の章の意味を理解するという宿題を出されたりんたち。全文英語のこの本をなんとか協力して読み進めようとしている。

 だが、語学力のある多江(生田絵梨花)と直美(上坂樹里)は、気の強い性格も似ていて協力し合おうとはしない。さらに、直美がイラついて強い言葉で周囲を攻撃してしまうことも相まって、同期たちは2つのグループに分かれてしまった。

 それぞれに学習を進めていくが、なかなか思うようには進まない。英語はひとつの単語に複数の日本語訳があてられていて、どの分野の書物を読んでいるのかで意味が変わることがある。

 りんたちは、よく出てくる「observe」という単語に注目する。医療や科学の分野では、この単語は「気づく」「観察する」という意味でよく使われる。どうやら課題図書の中では、「患者をよく見る」という意味で多用されているらしい。しかし、直美が英語を学ぶ基礎とした聖書の中では、「神様の教えやおきてを守る」という文脈で使われ、「observe」は「守る」という意味になるようだ。

 直美たちは課題図書の大切な一文をうまく訳すことができず、一方の多江たちは、なんとなく意味の通じる文にはできたが本質が理解できない。それぞれがそれぞれの問題を抱え、学習がうまく進まない状態に陥っていた。

 こういう時は、誰かが状況を打破しなければならない。りんは、2つのグループで協力しようと声をかけるが、特に直美と多江が反発してうまくいかない。こうなった原因の一端は、直美がやさぐれ、意固地になっているところにあるのだが、りんは度々それをやんわりと口にしてきた。

 しかし今回は、「直美さん、うそつきです。うそつきで不細工。不幸ぶって不細工」と強い言葉で指摘した。

 「英語ができんならみんなに教えて、一人でもいい看護婦が増える方がいいんじゃないですか?」というりんの言葉は正しいのだが、“正しすぎ”でもある。直美にとっては、食べるものにも困っている中で、「ここではないどこかへ行きたい」という一心で苦労して身につけた英語である。りんの言葉は、極端に言えば「苦労して身につけた英語をみんなのために安売りしてくれ」と言っているようなものだ。これでは、直美の心を動かすことはできない。

 一方の直美も、自分の態度が頑なであることを分かっているようだ。そこでりんに「うそつき」と言われて、ある日のことを思い出す。寛太(藤原季節)に騙され、詐欺師と同じではありたくないと捨松(多部未華子)に本当のことを打ち明け、今までを断ち切る思いで髪を切った日(直美を演じる上坂樹里の地毛をそのまま使用)。自分でも滅多に見せない涙を流し、吉江(原田泰造)を大泣きさせてまで決意したはずなのに、変わることはなかなか難しい。

 りんと直美はこれからバディとなっていくが、その名の通り、凛としていて周りのために自分をしなやかに変えていける「りん」と、やっぱりその名の通り、まっすぐで美しく、ままならない自分を抱えてどうにかもがく「直美」。それぞれのカラーが、ここへきて一段とはっきりとしてきた。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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