『ARCO/アルコ』ボーイ・ミーツ・ガールの衝動が優しく響く “日常”を包む無限の変化

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、高校時代、自転車に乗って一晩中見知らぬ道を駆け回っていたら母親に110番された徳田が『ARCO/アルコ』をプッシュします。

『ARCO/アルコ』

 第98回アカデミー賞にて『ズートピア 2』『K-POP ガールズ!デーモン・ハンターズ』と並び長編アニメーション賞の候補になったほか、アヌシー国際アニメーション映画祭ではクリスタル賞(最高賞)を受賞したアニメーション映画『ARCO/アルコ』。そのほか、アニー賞やヨーロッパ映画賞、セザール賞など映画賞を席巻している。小島秀夫は「『未来少年コナン』や『ナウシカ』『ラピュタ』の頃の宮崎活劇作品を思い出す」と絶賛したという(※)。

 たしかにボーイ・ミーツ・ガールを基礎としたストーリーラインや、「飛行石」を想起させるオーバーテクノロジーからは『天空の城ラピュタ』を連想してもおかしくはないし、近未来(2075年)の舞台設定には押井守や大友克洋のSF作品からの影響を見出しても不自然ではない。

 ただ、そういった古典作品との関連を抜きにしても本作には普遍的な魅力が詰まっている。「海の向こうのクリエイターが、日本のanimeをいかにリスペクトし、巧みに参照しているか」といった視点はこの際無視して、少年と少女の一度きりの出会いとして本作を受け取るのもいいだろう。

 物語のあらすじはこうだ。10歳の少女イリスは変わり映えのない日常に退屈している。2075年の学校ではロボットが授業をすることが当たり前になっているが、杓子定規な話しぶりに飽きたのか、彼女は授業を途中で抜け出すこともある。両親は家におらず、まともな会話があるとしてもホログラムと化した彼らと機械ごしに近況を報告しあうわずかな時間だけだ。そんな毎日にイリスは苛立ちと、わずかな寂しさを抱いているようだ。

 そこにある日、虹色のマントを身につけた少年アルコがやってくる。空から不時着した彼は、未来からやってきたのだという。不時着の際に紛失してしまった、タイムトラベルのための宝石を探し、アルコが元の時代に帰れる方法を探すべく二人のちょっとした冒険が始まる。

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