『超かぐや姫!』『パリエト』など、宣伝の“情熱”で快進撃をみせたオリジナルアニメ映画

 近年、劇場アニメへの注目度が高まっている。特に2026年に入ってオリジナル作品の『超かぐや姫!』や『パリに咲くエトワール』など話題作が次々と登場しており、多くのクリエイターが新たな境地を目指し走り続けている。原作の知名度に頼れないオリジナル作品の宣伝・広報はどのようにして作品に注目を集めようとしているのだろうか?

ハイレベルな作品を世に送り出す理想のやり方は『鬼滅の刃』

『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』©吾峠呼世晴/集英社・アニプレックス・ufotable

 2026年現在、劇場アニメはアニメの世界で際立った存在感を獲得している。その主力となっているのが、いうまでもなく『鬼滅の刃』だ。すでに『無限列車編』と『無限城編 第一章 猗窩座再来』の2作品で国内興収400億円越えを達成しており、邦画としての金字塔を打ち立てた。

 なぜ『鬼滅の刃』というハイクオリティ作品は世に知られることになったのか。それはSNSによる拡散が大きな要因となったのが一因といえる。戦闘シーンの映像美は多くの人の心に衝撃を与え、この作品を他の人にも知ってもらいたいという感情が、拡散の原動力となった。また、家族愛や鬼退治という普遍的なテーマは日本人だけでなく、世界中の人に理解しやすいイシューとして機能したのも大きいといえる。

 一度大きなヒットを飛ばした作品には、金や人といったリソースが大量に投入される。当初はTOKYO MXという東京都のローカル局でスタートしたTVアニメシリーズだったが、『無限城編 第一章』では全国11都道府県24劇場で世界最速上映が行われたことが何よりの証明だろう。また、ここまで大きくなったコンテンツとなっても、TOKYO MXでの放送も継続されているのも重要なポイントといえる。不義理は多くの人が嫌う要素だからだ。

『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』©2026 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 また、4月10日から上映されている劇場版『名探偵コナン』シリーズ第29弾『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』は公開よりわずか3日で約35億円の興収を叩き出している。注目作であり、公開初日に40回以上の上映を行った劇場や、作品の舞台となった横浜では限界を超えた59回もの上映を敢行した劇場まで出たほどだ。

 とはいえ、全ての作品が『鬼滅の刃』や劇場版『名探偵コナン』のようなプロモーション戦略を取れるわけではない。また、クオリティが担保されていない作品であればどのようなプロモーションを打とうと人々は見向きもしない。可処分時間と可処分所得の奪い合いは熾烈であり、どちらかで損をするかもしれないと考えた人間は、映画館に足を運ぶことはありえない。

 特にオリジナル劇場作品の場合、プロモーションは原作付き作品よりも難易度が跳ね上がる。原作付きアニメは原作のファンが見てくれるが、オリジナル作品は作品の持つ魅力とそれ以外の何かの要素でプロモーションを行なう必要があるからだ。例えば著名な俳優やアイドルが声優を務めるのは昭和時代から行われている手法だ。賛否両論あるが、近年は演技が悪目立ちするとSNSで拡散され悪影響が出るためか、宣伝の中心軸には置かれない傾向が出てきているようだ。

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