佐野晶哉、『風、薫る』で“人とのつながりの大切さ”を実感 「努力って一人ではできない」
“槇村太一役”林裕太と初日で意気投合
――シマケンという役の魅力や、演じがいについてはどのように感じていますか?
佐野:最初は少し根暗なキャラクターなのかなと思いながら演じていたんですけど、実際はとっつきにくそうで、意外ととっつきやすい人物だなと感じています。自分と似ている部分もあるのかなと思いながら役に向き合っていて、そのバランス感がすごく面白いですし、演じがいにもつながっていると思います。
――事前に「こんなに準備できる作品は初めて」とおっしゃっていましたが、具体的にはどんな準備をされていたのでしょうか?
佐野:まず、下駄に慣れていなかったので、自分で下駄を買って、夏の間はプライベートでもずっと下駄で生活していました。そういう細かい部分から身体に馴染ませていくことを意識していましたね。ビジュアル面でも、時間があった分しっかり整えることができましたし、役についてじっくり考える時間を持てたのは大きかったです。当時はまだ5週目くらいまでの台本しかなかったので、深い部分まで掘り下げるのは難しかったんですが、それでも何度も読み込んで、少しずつキャラクターを理解していく時間はすごくありがたかったです。物語の中でどれくらい時間が経っていくのかは、これから明らかになっていく部分も多いと思うんですが、その変化に合わせてビジュアルも変えていけたらいいなと思っていますし、そこも楽しみにしています。
――りん(見上愛)さんとのシーンについて、どんな手応えを感じていますか?
佐野:りんさんとの2人のシーンは、ずっと独特な空気感が流れているなと思います。少し歪というか、お互いに強く意識しているわけではないのに、どこか意識し合っているような、不思議な距離感があって。ある意味、男女の関係にも少し近いような空気感かもしれないですね。それがすごく自然に生まれているのがいいなと感じています。りんさんはシマケンに看護婦としての将来を相談してくれるんですけど、シマケン自身は「ちゃんと相談に乗ろう」としているわけでもなくて。だからこそ、少し距離を保ったまま投げられる言葉があって、その一つひとつがすごく印象的なんです。そういうところがシマケンの魅力だと思います。
――りんにとっても、シマケンは重要な存在になっていきそうですね。
佐野:台本を読んでいても、りんには女学校の仲間やお母さんなど、いろんな相談相手がいるんですけど、一番素をさらけ出しているのはシマケンの前なんじゃないかなと感じています。だからこそ、見上さんがどういう表情になるのか、どんな感情を引き出せるのかが、自分の一番の役割だと思っています。そのことを意識しながら、日々の撮影に向き合っています。
――外国語を話すシーンについてはいかがでしたか?
佐野:顔合わせの日にフランス語のレッスンがあって、その後も2回ほどレッスンを受けてから撮影に入ったので、しっかり時間をかけて練習できたのは大きかったですね。すごくやりやすかったです。実際に自分でも映像を観たんですけど、「めっちゃ無駄にカッコええやん」って思いました(笑)。急にかっこいいやつが出てきたな、みたいな。そこからシマケンという人物の中身が見えてくるにつれて、だんだん弱い部分も出てきて。そのギャップがすごくいいなと感じています。
――初めてのシーンが外国語ということで、緊張はありましたか?
佐野:僕がシマケンとして最初に演じたのが、フランス語のシーンやったんですよ。でも、日本語で芝居するよりも緊張しなかったですね。自分の言語能力とか知識をちょっとひけらかしてるような時間というか、今の言葉で言うと“イキってる”状態でやってる感覚に近くて(笑)。もちろん実際はそこまで喋れるわけじゃないんですけど、「やばいな、やばいな」って思いながらも、どこか楽しみながら演じていました。
――撮影現場でのコミュニケーションはいかがですか?
佐野:女性陣のワイワイした感じとはまた全然違う空気かもしれないですね(笑)。僕と見上さんには共通の友達がいて、その子が僕のめっちゃ仲いい友達で、しかも見上さんと大学が一緒やったんですよ。最初はその共通の友達の話ばっかりしていて、そこから一気に仲が良くなった感じがあります。
――共演者の方々とは、どんなふうに関係を築いていますか?
佐野:槇村太一役の林裕太とは初日で仲良くなって、もう3回くらいご飯にも行きました。めちゃくちゃやりやすいですね。共通の役者の友達もいて、その人から「裕太の芝居は、こっちが用意してきたテンポをいい意味で壊してくれる。それを受けるだけで芝居が引き立つ」と聞いていたんですけど、まさにその通りやなと思って。実際に一緒に芝居していても、カメラのアングルが変わるたびに全然違うアプローチをしてくるので、「それなら自分も応えなあかんな」と思って、毎回変えながらやっています。芝居終わりに2人で「今のよかったな」って褒め合ったりもしますし、「このセリフこうしたほうがいいかな」とか事前に話し合いながら撮影に臨める相手ってなかなかいなかったので、すごくいい関係でやれているなと感じています。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK