韓ドラ『愛の光』は珠玉のラブストーリーに 小津安二郎『東京物語』と重なる“間”の演出

 パク・ジニョンとキム・ミンジュ主演の韓国ドラマ『愛の光』最終話が、Netflixで配信された。韓国の江陵(カンヌン)近くの田舎の村、ヨヌ里を舞台にした、複雑な家庭環境で育った2人の男女のピュアで繊細な、珠玉のラブストーリーだ。

※本稿は物語の結末に触れています

 両親代わりの祖父母と弟と一緒に暮らすため、ソウルから引っ越してきたテソ(パク・ジニョン)と、夏休み中に高校の図書館で出会った同級生の少女ウナ(キム・ミンジュ)は次第に惹かれ合い、恋に落ちる。お互いを励まし合いながら、秀才のテソは希望通りソウルの名門大学に進学し、ウナも実家から近い江陵の大学に合格。お互いに忙しい中、遠距離恋愛を続けるが、ウナは大学への興味を失い、リゾートホテルのバイトで本当にやりたいことをついに見つける。仕事に集中し、自分のために時間を使いたいとウナが主張し、暑い夏の最中に2人は突如破局を迎える。

 そして10年後、テソは大学卒業後に入社した一流企業のエンジニアの仕事を辞めて、亡き母親の姿に憧れ、子供の頃の夢だった地下鉄の運転士になり、ソウルで自立した生活を送っている。ウナは統営(トンヨン)で民泊の経営に失敗し、新生活を始めるためソウルにやってくる。明らかに人生に疲れているウナの表情に昔のような輝きはない。彼女は偶然、梨水(イス)駅のホームでテソの声を聞き、彼を探し求める(この第4話のウナの切ない表情と描写が出色で何度でも観たくなる)。テソも駅でウナを見かけ、気にかけるようになり、2人は初めて一緒にソウルの象徴、漢江(ハンガン)を見た銅雀(トンジャク)駅で、ついに10年ぶりの再会を果たす。ぎこちないながらも、10年間の空白を少しずつ埋めつつ、2人はかつての恋心を取り戻し、再び交際をスタート。幸せに包まれながら、30歳になった2人は将来のことを考えるようになる。テソは祖父母が高齢になり、2人を世話する弟も足に障害を抱えているため、ヨヌ里村に戻る準備を始める。ウナは民泊の仕事をしながらも、不安定な生活を送っている。結局、1ヶ月で2人は2度目の破局を迎えてしまう...…というのが第8話までのストーリー。

 2度、3度の破局を描く韓国の恋愛ドラマは珍しくないが、最近ではパク・ソジュンとウォン・ジアン主演の『明日はきっと』(2025年)が、20年がかりの壮大なロマンスで、主人公カップルは破局と復縁を何度も繰り返していた(そして韓国ドラマでお馴染みの海外ロケもスペインのマラガで敢行)。クライマックスで突然主人公カップルが破局することでドラマを盛り上げ、ラストに期待をもたせるという手法も韓国の恋愛ドラマの定石だ(韓国ドラマでは終盤で脇のキャラクターが亡くなることが多いが、『愛の光』では逆に死にそうだったお婆さんが復活するという逆転現象が新鮮)。

 『愛の光』第8話で、ウナが長年の先輩である影の薄い元彼氏と深夜に一緒に過ごしているところをテソに目撃されてしまい、2人は別れることになるのだが、この理由づけや設定は説得力が弱く、一気にトーンダウンした感があったのも事実。しかし、ラストの2話でなんとか盛り返すことに成功している。10年前にテソに恋焦がれていた年下の女性イム・アソル(パク・セヒョン)が一気に存在感を高め、三角関係の様相を呈しながら、物語はラストへと突き進む。

 ウナは結局韓国を離れ、複雑な関係にある義理の母が住むハワイへの移住を決断。テソはソウルを後にし、ヨヌ里村で家族と一緒に暮らし、別の鉄道の路線で運転士になることを決める。冬の最中、何度もすれ違いながら、ついに2人は対面し、初めて、直接顔を合わせて別れを告げる。ハワイへの出発の日、テソはウナを空港まで送るが、道中のバスでも電車でも、2人は「意図的に」少し離れた場所に座って距離を保っている。ここに、この作品の醍醐味が凝縮されている。

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