『風、薫る』上坂樹里が“毒づく主人公”の魅力を発揮 コレラ蔓延で早くも不穏な気配が

 『風、薫る』(NHK総合)第2話では、りん(見上愛)の住む村にコレラが広がる。

 作中で「コロリ」と呼ばれるコレラは隣町で感染者が出て、一ノ瀬家でもそのことが話題になる。第2話後半では、りんの住む那須の村で病人が発生。しかも感染したのは、幼なじみの虎太郎(小林虎之介)の母・栄(岩瀬顕子)だった。

 コレラが蔓延する前、りんと妹の安(早坂美海)は、いつも通りの日常を送っていて、父の信右衛門(北村一輝)から学問を教わり、家族で祭りに出かける。祭りで獅子舞とたわむれる一家の様子は平和そのものだ。母の美津(水野美紀)は倹約に努めるが、家計は決して楽ではないようだ。

 その頃、東京では、直美(上坂樹里)がマッチ工場で働いていた。不器用な直美は、またもや材料を損じてしまい、雑用を押しつけられる。上司にわからないように、英語で「ふざけんな」と毒づく直美が勝ち気な性格であることが伝わってきた。

 直美のキャラクターがはっきり表れたのが、往来でのエピソードだ。安の縁談のために上京した美津たちの背後で直美がスリを捕まえる。スリの瞬間を直美は見逃さず、その場で取り押さえた。財布を取り返して美津に渡すと、今度は美津がスリの男を成敗。

 「耶蘇のみなしご」と罵る男に「でれすけ」と言い、叱りつける美津。水野美紀のアクションと自然な台詞回しは安定のクオリティーである。しかし、それで終わらない。

 美津は「金持ちから盗めというのも間違い」と直美を注意する。美津がまっとうな倫理観を持っているのに対して、直美は、強きをくじき、弱きを助ける価値観を持っており、それは親がいない生い立ちとも関係があるかもしれない。

 美津と安の母娘が直美と、この後、どんな言葉を交わしたかは想像の範疇だが、第2話にして、主人公であるりんと直美に、家族を介して間接的に接点が生まれたことになる。また、しっかり者の美津に対して、夫の信右衛門の考えも興味深い。彼は娘ふたりに学問を授けながら、「世の風向きはくるくる変わる。いっときの風に流されず、己が頭で考え、行き先を決めるのが大事だ」と話す。

 「風」は世の中の流れ、あるいは時代の変化である。信右衛門は「学ぶことはときに世を渡る翼となり、身を守る刀になる」「学問を怠っては飛んでいけぬぞ」と伝える。今作は日本で初めてトレインドナースとなった2人を描く。「翼と刀」は第1週のタイトルであり、主人公の進む道を示しているのではないだろうか。学ぶことはその重要なプロセスになるだろう。

 第2話の注目ポイントとして、りんと虎太郎の関係があった。りんは虎太郎を意識し、虎太郎もりんを気にしていることは、夏祭りまでの流れで十分に伝わってきた。2人の前にコレラによる家族の病気が立ちはだかっていて、これがどう影響するかが気になるところだ。

■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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