北村有起哉、永瀬廉、伊藤英明、市川團十郎 『リブート』の“悪役”はなぜ魅力的だったのか
本作における悪役の魅力を語る上で、もうひとつ最大のポイントとなるのが、合六亘の存在だ。マネーロンダリング組織のトップとして君臨し、自分に都合の悪い人物は容赦なく排除する残虐性を持つ。政界への資金還流によって更なる権力の増大を狙う彼は、一見すれば「打倒すべき悪」の一人に過ぎないように見えた。
しかし物語が進むにつれ、その認識は根底から覆される。早瀬が家族を守るために選んだはずの「リブート」という禁じ手さえも、実は合六が最初からすべて把握し、自らの目的のために仕組んだ「筋書き」の一部だったのだ。早瀬が家族のためにと足掻けば足掻くほど、合六が用意した「儀堂」という役柄の深みへとハマっていく。このあまりにも完成された支配構造によって、真相を知った瞬間、視聴者である私たちまでもが合六の回す「悪の歯車」に突如として放り込まれたような衝撃を受ける。
早瀬に感情移入していたはずが、気づけば合六が次にどんな「配役」を繰り出し、物語をどう歪めていくのかを、注視せざるを得なくなる。この「悪側が回す歯車の中に、主人公も視聴者もいつの間にか組み込まれていた」という視聴体験こそが、合六という悪役を魅力的に私たちの目に焼き付けた正体なのだろう。
そして終盤、これら「悪の博覧会」を飲み込む巨大な「クジラ」として降臨したのが、政治家・真北弥一(市川團十郎)だ。彼が放つ、画面を割らんばかりの威圧感は、個人の愛憎など届かない「国家というシステム」そのものを具現化している。「日本をリブートする」と一点の曇りもなく言い切る彼の前では、早瀬の家族愛も合六の脚本も、目的のための「資源」に過ぎない。ただそこに居るだけで場を支配してしまう悪役としての「格」は、視聴者に絶望を突きつけながらも、抗いがたい力強い魅力を放っていた。
本作がこれほどまでに観る者を惹きつけるのは、主人公・早瀬が抱く「一途な愛」を、強烈な悪役たちが、その裏側から際立たせ続けてきたからだ。彼らが仕掛ける「闇」が深ければ深いほど、その渦中でボロボロになりながらも家族を想う早瀬の叫びが、より鮮烈に浮かび上がる。この「悪の博覧会」の果てに私たちが目撃したのは、悪役たちが放つ圧倒的な熱量とそれぞれの正義の衝突だった。日曜劇場という枠組みさえも「リブート」して見せた、この予測不能なドラマを象徴する真の功労者は、底知れぬ魅力を放ち続けた彼ら悪役たちに違いない。
妻殺しの濡れ衣で逮捕されたパティシエの早瀬陸は、悪徳刑事・儀堂歩に追い詰められ、真犯人を見つけ出すため、家族と過去を捨てて儀堂の顔に変わり“リブート”を決意する。
■放送情報
日曜劇場『リブート』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:鈴木亮平、戸田恵梨香、永瀬廉(King & Prince)、蒔田彩珠、中川大輔、藤澤涼架、与田祐希、上野鈴華、藤田ハル、矢崎滉、野呂佳代、塚地武雅(ドランクドラゴン)、津田篤宏(ダイアン)、伊藤英明、山口紗弥加、池田鉄洋、酒向芳、黒木メイサ、原田美枝子、北村有起哉
脚本:黒岩勉
音楽:大間々昂、木村秀彬
主題歌:Mr.Children「Again」(TOY'S FACTORY)
プロデュース:東仲恵吾
協力プロデュース:國府美和
演出:坪井敏雄、田中健太、元井桃
製作著作:TBS
©TBS
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