『教場』は“何者”であるかを模索しつづける物語 『Requiem』への納得感といささかの疑問
要するに、本来であれば“千枚通しの怪物”たる十崎との対峙を描くべきところに、突発的に別の怪物が割り込んで物語をかき乱したといったところだろう。壇上で風間と平田のあいだに降り注ぐスプリンクラーの豪雨は、まぎれもなく遠野(北村匠海)が襲撃された夜を想起させる。だからこそ、そこで風間の前にいるべきは十崎であったと言わざるを得ない。風間公親という存在を徒に紐解くことをしなかったのは正しいが、これで“完結編”にされてしまってはどうしても物足りなさが残る(そういった意味で、明らかに続きを作る気満々のラストだったことは大歓迎である)。
もっとも、こうした違和感も物足りなさも、仕切り直しの卒業式での一幕で多少は溜飲が下がるかもしれない。風間は門田(綱啓永)に対し「警察学校とはどんな所だ?」と、『Reunion』の序盤で彼に投げかけた質問を再び向ける。その際に門田は「警察官を育てるところでは……」と語尾が曖昧な状態で答えていたが、今回の問いかけには「自分が何者なのかを知る場所」とはっきりと答えるのだ。
「自分が何者なのかを知る場所」からドロップアウトした平田が自分自身を見失い、卒業して警察官になったかつての教え子たちは、自分が何者なのかを知った上で、その“何者”になるために奮闘を続ける。結局は誰しもが、どの場所にいても自分が何者なのかを探しつづけ、そこに向かっていかなければならない。警察学校という空間がその一端を担うための場所であるならば、風間もまた、自分が“何者”であるかを模索しつづけている一人なのである。
■配信・公開情報
映画『教場 Reunion』
Netflixにて独占配信中
映画『教場 Requiem』
全国公開中
出演:木村拓哉、綱啓永、齊藤京子、金子大地、倉悠貴、井桁弘恵、大友花恋、大原優乃、猪狩蒼弥、中山翔貴、浦上晟周、丈太郎、松永有紗、佐藤仁美、和田正人、荒井敦史、高橋ひとみ、佐藤勝利、中村蒼、小日向文世、赤楚衛二、白石麻衣、染谷将太、川口春奈、味方良介、大島優子、三浦翔平、濱田岳、福原遥、目黒蓮、坂口憲二
原作:長岡弘樹『教場』シリーズ/『新・教場』『新・教場2』(小学館刊)
脚本:君塚良一
監督・プロデュース: 中江功
配給:東宝
©フジテレビジョン ©長岡弘樹/小学館
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