松坂桃李×仲野太賀の共演に評論家も注目 「誰と共演するかを大事にする俳優が増えた」
世界的名曲「上を向いて歩こう」を生み出した“689トリオ”と呼ばれた作曲家・中村八大、作詞家・永六輔、歌手・坂本九の生涯を描く映画『SUKIYAKI』。主演の岡田准一(中村八大役)に加えて、新たに松坂桃李(永六輔)と仲野太賀(坂本九)の出演が発表された。
岡田准一主演『SUKIYAKI』松坂桃李が永六輔、仲野太賀が坂本九に 超特報&ビジュアルも
岡田准一が主演映画『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』に松坂桃李と仲野太賀が出演することが発表され、あわせて超特報映像と超ティ…仲野は現在NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』に主演として出演中で、松坂も2027年の『逆賊の幕臣』で主演を務めることが決定している。2014年の『軍師官兵衛』で主演を担った岡田とあわせて、主要キャストが3名とも大河ドラマ主演俳優という点で注目に値する座組だ。
このようなユニークな座組が実現する土壌として、ドラマ評論家の成馬零一氏は“共演者同士のつながり”が重要視されるようになっていると語る。
「本作のプロデューサー・高明希さんのコメントが非常に興味深いと思いました。『「六輔さんと九さん役は誰ですか?」と聞かれ、まだ問い合わせもしていない、妄想の2人の名前を口にしました。その妄想が、そのまま現実になりました』とコメントしているように(※)、近年は作り手がまだ決まっていない段階で俳優の名前が先に出てくることも増えています。これは重要な変化で、予算規模や作品の知名度より“誰と共演するか”をすごく大事にする俳優が増えているということでもあると思います。YouTuberのコラボのような感覚に近い。松坂さんも『岡田さん、そして仲野太賀の名前を聞いて、「これはぜひ参加したい」と強く思いました』とコメントしているように(※)、横の繋がりがあるユニークな人たちが集まるといったことが起きています。個人が突出するというより、チームの中で入れ替わり立ち替わり主演が変わっていく。しのぎを削るというより、コラボしていくイメージと言いますか。菅田将暉さんなどはその傾向を象徴する一人だと思います」
こうした俳優同士の“横のつながり”は、かつては今ほど見られるわけではなかった傾向だとして、近年のキャスティング事情についてこう続けた。
「昭和から平成の初頭までは、圧倒的な“超大物”俳優がいて、その周辺に若手俳優が配置されるという構造がありました。大河ドラマ『独眼竜政宗』(1987年)で豊臣秀吉を演じた勝新太郎さんなどが典型的ですが、そういった俳優を序列で見る感覚は今はよくも悪くも薄くなっていて、50代くらいより下の世代の俳優に対しては、ほぼ同列の存在として視聴者は観ていますし、出演者もチームで楽しそうに演じている印象があります。明確な“主演俳優”を立たせるというより、入れ替わり立ち替わり主演を担って、主演だった人が別の作品では脇役を演じ……と回しても違和感がなくなっている。芸能界のコミュニティがそのまま巨大な劇団のようになっているように思います」
俳優をフラットに扱う現代のキャスティングは、俳優の多様な活躍にも繋がる。仲野や松坂、あるいは森七菜や池松壮亮などの人気俳優は、いわゆる“主演俳優”としてのイメージを固定化させず活躍できる者たちだ。
「2025年に『国宝』、『フロントライン』、『秒速5センチメートル』、『ひらやすみ』(NHK総合)などで大活躍した森七菜さんを筆頭に、近年は主演でも脇役でも印象に残る芝居をされる方が増えているように感じます。仲野さんも“主演の人”というイメージはそこまで強くなくて、話題になった『いちばんすきな花』(フジテレビ系)や『虎に翼』(NHK総合)は主演ではありませんでしたし、小池栄子さんとW主演だった『新宿野戦病院』(フジテレビ系)でも、ど真ん中の主人公だったわけではありませんでした。その意味で群像劇で光るタイプと言いますか。かつては、“主演俳優”で居続けることが一流俳優の証明みたいなところがありましたが、主演ばかり演じていると、どうしても自分を追い詰めることになってしまう。今の俳優はそのことに自覚的で、だからこそ主演作だけに傾かないようにしているのだと思います。松坂さんも『御上先生』(TBS系)で主演を務めていましたが、同作には重要な役として岡田将生さんや吉岡里帆さんといった主演級俳優の方も出演しています。仲野さん主演の『豊臣兄弟!』では池松壮亮さんが兄・秀吉を演じていますが、この作品でも“誰が主演でも成り立つ”雰囲気を感じます。最近のアイドルグループの、センターを務める人が頻繁に変わるような構造に近いかもしれません」
さらに近年は、作品の制作や演出に介入する俳優も増加傾向にある。そうした俳優の多様な意向に応えられる監督・脚本家は今後より強く求められるようになるという。
「近年は出演俳優がプロデューサー的な立ち位置を果たす作品が増えているように感じます。例えば、岡田准一さん主演の『イクサガミ』(Netflix)は岡田さんがプロデューサーとアクションプランナーを兼ねている作品ですが、ご自身の魅力が一番活かせる時代劇の殺陣が全面に打ち出されていて、他の俳優のポテンシャルもアクションを通して見事に引き出している。佐藤健さん主演の『グラスハート』(Netflix)や、杉咲花さん主演の『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系)も同じ印象で、“その俳優じゃないと成立しない企画”がメディアでも注目される傾向があります。それらの作品は俳優が演出にも深く関わっており、監督と二人三脚で作り上げている。昔は俳優自身が制作に深く介入することに対して、もっと抵抗があったと思うんですが、今はむしろ脚本や演出に積極的に介入していることを語る俳優が増えていて、何を表現したいのかを本人が説明をしたほうが視聴者も喜ぶのではないでしょうか。俳優自身がセルフプロデュースしなければならないことが今は増えていて、そのイメージを実現できるスタッフが求められている。あらゆる業種で似たようなことが起きていると思いますが、いずれにしろこうした俳優をめぐる状況の変化の象徴として『SUKIYAKI』を位置付けられるのではないでしょうか」
いまだ歌い継がれる名曲「上を向いて歩こう」を現代に蘇らせる『SUKIYAKI』。壮大な歴史とともに、芸能界の現代的状況を伝える作品として注目だ。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2026/01/post-2285495.html
■公開情報
『SUKIYAKI 上を向いて歩こう』
12月25日(金)公開
出演:岡田准一、松坂桃李、仲野太賀
監督:瀬々敬久
脚本:港岳彦
音楽監督・音楽:岩崎太整
音楽:林正樹
配給:東宝
©「SUKIYAKI 上を向いて歩こう」製作委員会
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