『ヤンヤン 夏の想い出』漫画家・高妍から特別描き下ろしイラスト到着 著名人コメントも
劇場公開中のエドワード・ヤン監督作『ヤンヤン 夏の想い出』4Kレストア版より、台湾出身の注目漫画家・高妍によるイラストが到着。あわせて著名人からのオピニオンコメントが発表された。
本作は、『牯嶺街少年殺人事件』などで知られる台湾ニューシネマの巨匠エドワード・ヤンの集大成にして遺作となった作品。台北の高級マンションで暮らす少年ヤンヤンとその家族が経験するひと夏の出来事を描く。2000年の第53回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞し、2016年の英BBC主催「21世紀の偉大な映画ベスト100」で第8位、2023年の米ハリウッド・リポーター「21世紀の映画ベスト50」で1位に選出されるなど、公開から四半世紀を経てなお評価が高まり続けている。
到着したイラストは、2025年に出版されたコミック『隙間』(全4巻)が「このマンガがすごい!2026」(宝島社)オンナ編2位にランクインし話題を呼んでいる漫画家・イラストレーターの高妍(ガオ・イェン)による描き下ろしイラスト。
『隙間』以前に出版された『緑の歌-収集群風-』(上下巻)では作中に『ヤンヤン 夏の想い出』のオマージュシーンも登場する等、本作に特別な想いを向ける高妍。今回描き下ろしたイラストで描かれているのは、映画の中で少年ヤンヤンが写真屋に向かって歩道橋を駆け抜けるシーン。その姿は映画の中で象徴的に登場する、「後ろ姿」として描かれている。この歩道橋は「和平新生天橋」といい、40年以上もの歴史があり市民に愛されたシンボルだったが、2024年の年末に解体されている。高妍が台湾に住んでいた頃、毎日通っていた場所だという。
また、イラストにあわせて「エドワードヤンの映画は、一つの世代の「台北人」が抱く郷愁を、見事に凝縮しています。『ヤンヤン 夏の思い出』は、間違いなく、私の人生において最も好きな台湾映画です。観るたびに、まったく異なる感覚を与えてくれて、まるで私と一緒に成長しているかのように感じられます」と、コメントを残した。
さらに、実写映画『秒速5センチメートル』がヒットを記録した映画監督・写真家の奥山由之、映画『見はらし世代』が日本人史上最年少でカンヌ国際映画祭監督週間に選出された気鋭の映画監督である団塚唯我、バンドMONO NO AWAREのギター・ボーカル玉置周啓、映画監督でありバンドBialystocksのボーカル甫木元空、芸人であり映画・ドラマ評論を行う大島育宙からのコメントも到着した。
コメント
高妍(イラストレーター・漫画家)
エドワードヤンが生涯に手がけた八本の長編映画には、
いずれも一つの共通した主人公が登場している――それは「台北」です。
そこには、私が生まれる前の台北もあれば、私が日々行き交う見慣れた台北もあります。
エドワードヤンの映画は、一つの世代の「台北人」が抱く郷愁を、見事に凝縮しています。
『ヤンヤン 夏の思い出』は、間違いなく、私の人生において最も好きな台湾映画です。
観るたびに、まったく異なる感覚を与えてくれて、まるで私と一緒に成長しているかのように感じられます。
甫木元空(映画監督/Bialystocks)
なんてことない生活に人生の表と裏、生と死は転がっている。
自分じゃ見ることのできない背中。窓越しの人々。
エレベーターに乗って降りて、ドアを開けて閉める。
映画をみて、コンサートをみて、飛び交う鳩。
デートして、イタズラして、自転車乗って、雷鳴と共に雨が降ってくる。
ゲーム、トランプ、恋、後悔。なんてことのない毎日。更新される最新の日々。
人生の最後にこんな走馬灯を見て死にたい。
奥山由之(映画監督/写真家)
都市が持つ悲哀と未来への希望、人生の儚さを静かに照らす。
カメラと登場人物は遠く感じるのに、この映画と僕たちの心はこんなにも近い。
それはまるで、ヤンヤンが撮ったあの写真たちのように。
玉置周啓(MONO NO AWARE)
何の用だっけ。が物語を押し流していく。
なぜ窓を開けなかったのよ。
なぜ目を覚ましてくれないの。
どうしてこうなった。
窓ガラス越しの夜景になんども顔が映る。今じぶんがどんな顔をしているかを思い出すために。
絵が綺麗で、泣かせる場面が笑えて、それで、知らないうちに人生が終わっていく。何の用だっけと言いながら。
団塚唯我(映画監督)
私たちが日常でふと見かける街角にポツリとただずむあの人やあの人の、どこか頼りなさげで、時に勇敢な後ろ姿。
彼らがあんな背中になった訳をこれからもずっと考え続けるために、いつも映画を観ているのだろう。素晴らしいという他ないこの映画は、私が普段映画を観る理由をそうやって優しく教えてくれているような気がしてならない。
大島育宙(芸人/映画・ドラマ評論)
人間が、生死が、等価に存在することを映し取ろうと企み、挑み、淡々とここまで成功した映画を私は他に知らない。渋谷の映画館で一度だけ観ることができて以来、ヤンヤンは私の隣を歩き続けている。
あまりにも恋しく、1人で台北に飛んだ。マクドナルドは見る影もなくリニューアルされていた。結婚披露宴の舞台となるホテル「圓山大飯店」は時が止まったようにそのままだった。変わった景色も変わらない景色も、映画の中では止まっている。
止まった景色と止まらない人間たちを、映画館に観に行く。
■公開情報
『ヤンヤン 夏の想い出』4Kレストア版
Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下、シネスイッチ銀座、109シネマズプレミアム新宿ほか全国公開中
監督・脚本:エドワード・ヤン
出演:ウー・ニェンツェン、イッセー尾形、エイレン・チン、ケリー・リー、ジョナサン・チャン
撮影:ヤン・ウェイハン
編集:チェン・ポーウェン
録音:ドゥー・ドゥーツ
美術・音楽:ペン・カイリー
配給:ポニーキャニオン
2000年/台湾・日本合作映画/中国語・日本語/カラー/173分/原題:YI YI/英題:YI YI: A ONE AND A TWO
©1+2 Seisaku Iinkai
公式サイト:https://yi-yi.jp/
公式X(旧Twitter):@YIYI_4K