福山雅治と大泉洋の最強バディが復活! 『ラストマン』が描く“助けてもらう”勇気
『FAKE/TRUTH』では、真実という言葉に潜むあいまいさと空虚さを告発した。ニュースキャスターの播摩みさき(松本若菜)は、五ノ橋総理(吉田鋼太郎)の不正を暴こうとして、スキャンダルをねつ造されてしまう。テロ組織の手を借りて、元ディレクターの栗原(向井康二)と事件を起こすが、フェイクだったはずの爆発は現実に起きていた。
「正義を名乗る顔の見えない人たち」を糾弾するつもりが、「自分が正義だと勘違いしている人たち」はみさきや栗原自身で、不確かな正義はブーメランとなって自分たちに突き刺さる。真に恐れなければならないのは自分自身の無知で、加害的な意図は、容易に第三者に利用される。あえて報道番組を舞台にして描いたところに、作り手の思いを感じた。
実際に、真実か虚偽かを見抜くことは言うほど簡単ではない。相手の目に映るものが真実ではなく、自分を導く声が悪意によって動機づけられていたら、どうやって見破ればいいのか? 皆実の場合、あえてテロリストの罠にかかったことになるが、相手の力を利用して窮地を脱する柔軟さや、いざというときに備えてGPSを付ける抜け目のなさが際立っていた。
白杖1本で犯人と対峙して、制圧してしまう皆実には、自身に代わって目の役割を果たす相棒が必要になる。皆実には信頼できる仲間がいた。バディを解消している間も、皆実の心の目は心太朗をはっきり映していたし、心太朗も同じだったはずだ。
『ラストマン』では、誰かに助けてもらうことの重要性が繰り返し強調される。誰かに助けてもらうには、現実を受け入れる勇気が必要だ。助けるほうも同じである。「助ける―助けられる」という関係性を肯定することで、助ける側も、一歩を踏み出せる。みさきをスタジオから連れ出した皆実は、助けられる側に何ができるかを、理解しているのだろう。
フェイクにも揺るがないバディの絆を確認した『FAKE/TRUTH』の隠れたテーマは「愛」で、現在公開中の『映画ラストマン -FIRST LOVE-』の裏テーマが「嘘と真実」であるという形で、二作は対になっている。絶体絶命の窮地からバディは生還できるのか。ぜひその目でご覧いただきたい。
■配信情報
スペシャルドラマ『ラストマン-全盲の捜査官- FAKE/TRUTH』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:福山雅治、大泉洋、永瀬廉(King & Prince)、今田美桜、松尾諭、今井朋彦、奥智哉、木村多江、吉田羊、松本若菜、向井康二(Snow Man)、上川周作、少路勇介、下野紘、堀口真帆、吉田鋼太郎
脚本:黒岩勉
音楽:木村秀彬、mouse on the keys
挿入歌:「The Ssyba」神はサイコロを振らない(Universal Music/Virgin Music)
プロデュース:東仲恵吾
演出:平野俊一
製作著作:TBS
©TBS