結婚を機に振り返る波瑠×高杉真宙の歩み 真のラブコメとなった『わたしのお嫁くん』
俳優の高杉真宙と波瑠が結婚を発表した。節目となるこのタイミングで、改めて2人の出演作を振り返ってみたい。
NHK連続テレビ小説『あさが来た』(2015年度後期)のヒロイン・白岡あさ役を務めた波瑠は、前向きで快活なキャラクターで人気を博し、幅広い世代に知られるようになった。意外にも、それまでは脇役としての出演が多く、朝ドラのヒロインオーディションも、芸歴10年目、4回目の挑戦で合格したという苦労人だ。先日最終回を迎えた『フェイクマミー』(TBS系)では、川栄李奈とW主演を務め、東京大学卒業で、大手企業に勤めていたが、ひょんなことから天才児・いろは(池村碧彩)の“受験用のお母さん役”としてフェイクマミーをすることになる花村薫を演じた。
一方、高杉は『仮面ライダー鎧武/ガイム』(テレビ朝日系)の呉島光実/仮面ライダー龍玄役や『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系)の矢野悠太役などで知られ、優等生かと思いきや狡猾な一面を見せたり、人に頼れない弱い部分を垣間見せたりと2面性を持つ人物の演技を得意とし、今や映画やドラマでは欠かせない存在に。こちらも先日最終回を迎えた『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)にロイヤルファミリーの主戦騎手として活躍する佐木隆二郎役でレギュラー出演した。
そんな2人の出会いとなったのが2023年に放送された『わたしのお嫁くん』(日本テレビ系)。本作は、仕事を完璧にこなし、同僚たちからも憧れの存在でありながらもズボラ女子の一面をもつ穂香(波瑠)があることをきっかけに、会社の後輩で家事が圧倒的に得意な家事力最強男子の知博(高杉真宙)を嫁に迎えるラブコメディだ。
人当たりがよくて、誰にでも優しく、仕事も気遣いもできた穂香は、周りから「理想のお嫁さん」とまで言われていたが実際は、そのイメージさえも仕事で利用している仕事一筋の人間。知博はそんな穂香のズボラな“本当の姿”を知っても、彼女の役に立ちたいと共同生活を始める健気なワンコ系後輩。穂香に頼られたいと前のめりになる知博と、それをちょっと困った顔で落ち着かせる穂香のやりとりがいつも自然体で、胸キュンというよりは、ほっこりさせられていた。
利害が一致して生活をし始めた2人だが、始めの頃はギクシャクしてしまう。知博は“お嫁くん”として完璧であろうとして早朝からかつお節を削り出すなど無理をし、そんな知博の姿を見たことで穂香は申し訳なくなってしまうのだ。だがよく話し合い、次第に“互いに心地よいポイント”を見つけ出して、仕事も生活も楽しめるようになっていく。それにともなって2人の空気感も先輩・後輩の堅苦しいものから、向かい合って食事を楽しめるパートナーへと変化していった。
さらに印象的だったのが、知博と穂香が相手に自分の気持ちを素直に伝え、照れずに受け取っていたこと。もともと穂香に憧れを抱いていた知博が、穂香の反応に喜んで眩しい笑顔を見せる姿もさることながら、それまで仕事に生きていた穂香が、知博からの言葉や行動に嬉しそうにするところもとても愛らしく、何度、両者に「見ているこっちが惚れてしまう……!」と思ったことだろう。高杉と波瑠がこのドラマを通して深めていった関係性が知博と穂香という役に表れていたと考えると、今では納得できるものがある。
ドラマと同じく、食卓を囲んで笑い合う関係となった高杉と波瑠。その“幸せパワー”がこれから、たくさんの作品に反映されていくことに期待していきたい。