日高由起刀の演技が話題を呼び続けるワケ 『HAPPYEND』から『ばけばけ』へ続く軌跡
NHK連続テレビ小説『ばけばけ』で正木清一役として強い印象を残しているのが日高由起刀だ。
日高が朝ドラに出演するのは、NHK連続テレビ小説『あんぱん』に続き2作連続となる。『ばけばけ』の出演者オーディションには287人もの応募者が集まったが、その中から選ばれた一人が日高である。ヘブン(トミー・バストウ)の教え子の中心となる若手トリオの一人でもある清一は松江中学随一の秀才であり、日本の将来に大きな野望を抱く青年だ。同時にどこか子どものような素直さも併せ持つキャラクターとなっている。日高自身、「秀才でありながら少し子供のような一面も持っています」と役柄について語っており、その揺れ動く両面性を演じきっている。
日高は、映画デビュー作『HAPPYEND』で鮮烈な存在感を示し、その後もドラマや映画で着実に経験を積んできた若手俳優であり、俳優としてのキャリアは浅いながらも多彩な役柄に挑戦し、作品ごとに新たな輝きを放っている。本稿では、日高の近年の活躍を振り返りながら、彼が『ばけばけ』で演じる清一がどのように立ち上がっているのか見ていきたい。
日高の俳優キャリアは、まさに映画『HAPPYEND』から始まった。高校卒業後にモデルとして活動していた日高だが、演技未経験ながらオーディションを経てこの映画に大抜擢され、2024年にスクリーンデビューを果たす。『HAPPYEND』ではヒロインの友人であるコウ役を演じ、そのリアルな演技で物語に厚みを与えたと評価された。作品は第81回ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ部門に正式出品され、ワールドプレミア上映という快挙も達成。海外の映画祭でお披露目されたことで大きな話題となり、日高自身も国際的な注目を集めることとなった。さらに本作での演技により、第38回高崎映画祭では最優秀新人俳優賞を受賞している。デビュー作にして国内外で高い評価を得たことは、彼の人生における大きな転機となったと言えるだろう。