『果てしなきスカーレット』小ネタまとめ 『ハムレット』引用からアクション作画まで
また『果てしなきスカーレット』は映像表現に関して、さまざまな試行錯誤を行っているところも特徴。2Dと3DCGを融合させた独特なルックを実現したり、絵作りの前に声優の演技を収録するプレスコを導入したりしているが、とくにアクションシーンの作画には力が入っている。
というのも今作のアクションシーンでは、『ベイビーわるきゅーれ』シリーズのアクション監督などで知られる園村健介がスタントコーディネーターを担当。そしてスカーレットのスタントアクターを、『ベイビーわるきゅーれ』の深川まひろ役・伊澤彩織が務めている。
作中では序盤から終盤まで、スカーレットがさまざまな相手と肉弾戦を繰り広げていくのだが、その描写は必ずしもスタイリッシュではなく、むしろ泥臭い力と力のぶつかり合いの表現となっている。そこにはスタントを参考にした作画ならではのリアルな身体性が反映されているため、見応えを感じられるはずだ。
また今作はキャラクターの作画についても、新しい試みが導入されている。従来の細田作品といえば登場人物の顔や身体にあえて影を入れず、シルエットの動きを強調する“影なし作画”の技法を使ってきたことでお馴染みだった。しかし今作ではそうした“細田印”のルックにこだわらず、立体的にキャラクターを描写している。スタントの使用ということも踏まえると、ある意味2Dアニメ路線からリアル路線に舵を切ったというふうに見ることもできるだろう。
細田監督のこだわりが作品の隅々まで詰まっている映画『果てしなきスカーレット』。今回紹介した小ネタを頭の片隅に入れて観に行くことで、より多角的な視点から作品と向き合えるようになるのではないだろうか。
■公開情報
『果てしなきスカーレット』
全国公開中
出演:芦田愛菜、岡田将生、山路和弘、柄本時生、青木崇高、染谷将太、白山乃愛、白石加代子、吉田鋼太郎、斉藤由貴、松重豊、市村正親、役所広司
監督:細田守
配給:東宝、ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
©︎2025 スタジオ地図
公式サイト:https://scarlet-movie.jp/
公式X(旧Twitter):https://x.com/studio_chizu
公式Instagram:https://www.instagram.com/studio_chizu/
公式Facebook:https://www.facebook.com/studiochizu