板垣李光人×中村倫也が語る、“作品を残す”意義 「タンポポの綿毛を飛ばしている感覚」

音色は真逆だけど、共通した“柔らかさ”がある

(左から)板垣李光人、中村倫也

ーーアフレコを重ねる中で、「この人だからこそキャラクターが生きた」と感じた瞬間はありましたか?

板垣:原作を読んでいる段階でも感じていましたが、実際に初日のアフレコでご一緒して、隣で吉敷として芝居をしてくださっていたからこそ分かる部分がありました。強さや芯のある感じ、声だけでも思わず頼りたくなるようなどっしりした重厚感みたいなものは、中村さんの声を入れてくださったからこそ感じられるものでした。それをすぐ横で聞けたので、吉敷というキャラクターがより“そこにいる”感覚を持てましたし、その後の一人でのアフレコでも、ちゃんとそのイメージを感じながら演じることができました。

中村:李光人くんの声はイメージ通りでしたし、役者として僕にない音色を持っているので、ないものねだり的な意味合いも含めて、本当に「すごくいいな」と思うんです。正直羨ましさもある。これからもっとガンガン声優の仕事もやっていくと思います。

ーー板垣さんは、中村さんの声についてご自身にはない魅力を感じた部分はありましたか?

板垣:中村さんの吉敷の声を聞いていて、“太くてしっかりとした円柱”みたいだなと感じました。ちゃんと前を見据えられる強度があって、それでいてすっと伸びていくような、まさに円柱のようなイメージがすごく印象的でした。

中村:多分、僕たちの音色は真逆なんだけど、共通した“柔らかさ”みたいなものがあるから、キャスティングされたんだろうなと思います。

板垣:そうですね、でも声のことは正直、自分ではあまりわからなくて……。

中村:そう? じゃあ自覚してよ、李光人くんは良い声だよ。

板垣:ありがとうございます(笑)。

ーー極限状態の中で支え合う田丸と吉敷の“関係性の魅力”についてはどのように感じましたか?

板垣:田丸はいわゆる、この舞台の中でも戦闘の先頭に立って物語を進めたり、引っ張ったりする立ち位置ではないと思っていて。どちらかと言うと、それができるのは吉敷の方だと思うんです。田丸は頼りになる強さを持つ吉敷をずっと頼っていて、でも吉敷も物語が進むにつれて、どっちかが一方的に寄りかかり続けるんじゃなくて、きっちりお互いがお互いを支え合っているというか、同じくらい体重を預け合っているように感じられるのが、とてもいいなと思いました。吉敷の、物語が進むにつれて見えてくる人間らしさや弱さみたいな部分も、愛しいなと思います。

板垣李光人

中村:2人ともすごく真っ直ぐな奴で、見ていて気持ちがいいんですよね。性格も違うし、何かが起こったときに踏み出す一歩目も違うんだけど、共通しているのは、自分が間違ってたなと思ったときに素直にそれを受け止められたり、多分ちゃんと「ごめん」って言える2人というか。家族を大切に思っているところも含めて、すごく親身に感じるし、応援したくなるんです。敵味方問わず、いろいろな判断を迫られる状況で、人間のいろんな面が出てくる。その中でも彼らはずっと真っ直ぐで、そこがすごく魅力的だなと思います。

ーー亡くなった仲間の勇姿を書き記す功績係という存在は、物語の中でも非常に象徴的です。お二人は表現者として「作品を残すこと」「誰かの記憶に留まるものをつくること」について、どのように考えていますか? 

板垣:正直、「作品が残っていくこと」について、現時点ではまだ実感があまりないんです。例えば、自分が20歳のときに出演した作品を、40歳になったときにふと見かけたり思い出したりしたら、「残っているんだな」と実感できるのかもしれない。でも、今の段階ではそこに対してまだ手応えというか、感覚が追いついていない部分があるんですよね。

中村倫也

中村:タンポポの綿毛を飛ばしている感覚が、一番近いのかもしれないです。どこかで、この作品が誰かの人生に強く残る1本になることがある。でも、その花がどこで咲くのか、自分は知らない。知らないところで勝手に咲いてくれている。もしかしたら、李光人くんはまだその咲いている状態を自分で確認できていないのかもしれない。でも、たまに「この作品を観て、こう感じました」と声をかけていただいたりすると、「ああ、いい仕事をしたんだな」と思える。そういう意味では、作品をつくることは種を蒔くことに近いのかもしれないです。どこで芽が出るかは分からないけれど、確かにどこかで届いているんだろうな、という感覚があります。

『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』特集

映画『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』が12月5日より公開される。 戦争が楽園を地獄に変えた 史実に基づく戦火の友情物語…

■公開情報
『ペリリュー ー楽園のゲルニカー』
12月5日(金)全国公開
キャスト:板垣李光人、中村倫也、天野宏郷、藤井雄太、茂木たかまさ、三上瑛士
原作:武田一義『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』(白泉社・ヤングアニマルコミックス)監督:久慈悟郎
脚本:西村ジュンジ・武田一義
キャラクターデザイン・総作画監督:中森良治
プロップデザイン:岩畑剛一、鈴木典孝
メカニックデザイン:神菊薫
美術設定:中島美佳、猿谷勝己(スタジオMAO)
コンセプトボード:益城貴昌、竹田悠介(Bamboo)
美術監督:岩谷邦子、加藤浩、坂上裕文(ととにゃん)
色彩設計:渡辺亜紀、長谷川一美(スタジオ・トイズ)
撮影監督:五十嵐慎一(スタジオトゥインクル)
3DCG監督:中野哲也(GEMBA)、髙橋慎一郎(STUDIOカチューシャ)
編集:小島俊彦(岡安プロモーション)
考証:鈴木貴昭
音響監督:横田知加子
音響制作:HALF H•P STUDIO
音楽:川井憲次
主題歌:上白石萌音「奇跡のようなこと」(UNIVERSAL MUSIC / Polydor Records)
制作:シンエイ動画 × 冨嶽
配給:東映
©武田一義・白泉社/2025「ペリリュー ー楽園のゲルニカー」製作委員会
公式サイト:https://peleliu-movie.jp/
公式X(旧Twitter):@peleliu_movie
公式Instagram:peleliu_movie
公式TikTok:@peleliu_movie

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12月12日(金)

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