『フェイクマミー』中村蒼がワーママの味方に “竜馬”向井康二ד薫”波瑠に恋愛フラグ?

 いろは(池村碧彩)の担任・智也(中村蒼)にニセママ計画がバレてしまった! 『フェイクマミー』(TBS系)第5話では、竜馬(向井康二)が薫(波瑠)と茉海恵(川栄李奈)のピンチを救う。

 智也から学校へ報告する前に、茉海恵といろはから直接話を聞きたいと言われた薫。後日、4人は茉海恵の会社で会うことに。茉海恵と智也は一人の人間としてとして出会い、互いを「マミエル」「ササエル」と呼び合う仲になっていたが、今回は教員と保護者。2人の間にこれまでにない緊張感が流れる中、茉海恵は薫に母親業を委託するに至った経緯を説明する。

 茉海恵が相手の慎吾(笠松将)にも告げず、一人でいろはを産んだのは26歳のとき。シングルマザーの道を自分で選んだ以上、いろはには不憫な思いをさせたくなかったのだろう。時給の安い仕事を掛け持ちし、どうにか生活を成り立たせていたが、職場の人たちから子育てへの理解が得られず、八方塞がりなところに「一緒に働きませんか」と手を差し伸べてくれたのが竜馬だった。

 しかし、会社が大きくなればなるほど、今度は子育てにコミットする時間が減ってしまう。子供に経済的な苦労をかけてはダメ、子供のことで職場に迷惑をかけてはダメ、働くことで子供に寂しい思いをさせてはダメ。一体、どうしろと言うのだろう。母親にどこまでも完璧を求め、一つでも何かが欠けたら罪悪感を抱かせる社会で、心を折るなと言うほうが難しい。でも、茉海恵はいろはの母親でいることから逃げなかった。いろはの将来のためにできることを考えた結果、どんな手段を使ってでも柳和学園に入れてあげると決意したのだ。

 その切実な思いを誰よりも理解しているのは、ずっとそばで親子を見守ってきた竜馬だろう。母親の替え玉を用意するのは母親の責任を逃れたことも同じであると非難する智也に、「茉海恵さんが母親の責任から逃れたことなんて一度もありません」「そこだけは否定させてください」と強く反論した。毅然としているが、その濡れた目元が茉海恵への敬愛を物語っている。

 竜馬が証明する茉海恵のいろはへの愛情。そして学園が求める理想の家庭像に合わないという、本人ではどうすることもできない理由で絶たれるはずだったいろはの未来を、自分のキャリアを盾に使って守ろうとする薫の強い意志が、智也の心を動かしたのだろう。調和という名の同調圧力に屈し、児童の可能性を閉ざしてしまった過去がある智也は「今度こそ私は教師としての正しさを信じて、逃げずに向き合おうと決めました」と薫たちに協力を申し出る。

 ニセママ計画に心強い味方ができた。その一助となった竜馬の茉海恵に対する献身ぶりには驚かされる。朝は一番に出社し、後輩が作った資料を茉海恵が求めるレベルに修正する。しかも、ただおもねるだけじゃない。虹汁が三ツ橋食品の新商品に陳列棚を奪われたとき、「あんなパクリ商品」と腐した茉海恵に、竜馬は「あちらのほうが商品として優れていただけ」と客観的な意見を述べた上で「こちらも現状を真摯に受け止めて、きちんと分析すれば、必ず打開策は見つかるはずです」と鼓舞した。茉海恵が妨げなくクリエイティビティを発揮できるように、高い視座でサポートする有能な右腕だ。

 だが、案外自分に自信がないところもあるのかもしれない。最初は2人だけの会社だったが、社員がどんどん増え、茉海恵が頼るのは竜馬だけではなくなった。自分の存在意義が分からなくなったところに届いたヘッドハンターからのスカウトメール。心が揺れる竜馬に呼び出された薫は「誰かに頼られないと自分を信じられないんですか?」と喝を入れる。

 薫がニセママを買って出たのは、いろはの未来を守りたかったから。加えて、先の見えかけていた人生にニセママという変数を与えることで、どう変わるかを確かめてみたくなったからだ。「私は自分の意思でニセママをすると決めました。それが今の自分の人生に必要だと信じたからです」という薫の力強い言葉で、竜馬は他の誰でもなく茉海恵の支えになりたいと思った気持ちを思い出せたのではないだろうか。その帰り道、竜馬は「今日は薫さんに会えて良かったです」と伝える。今まで薫に対して不信感から冷たい態度を取っていた竜馬。そのまっすぐな言葉と、酒も相まって緩んだ表情に薫は不意打ちを食らったようだ。2人の間に、恋のフラグが立ったように思えるのは筆者だけだろうか。第5話は向井康二が硬軟織り混ぜて演じる竜馬の魅力が詰まった回となった。

 竜馬の株が上がる一方で、好感度が地の底まで落ちたのは慎吾だ。当初は売上が好調だった三ツ橋食品の新商品だが、ごほう美アイスのヒットに伴って虹汁が勢いを伸ばすとともに失速し始めていた。それでもなお、虹汁潰しに躍起な慎吾に相談役が歯止めをかける。会議の場では真摯に意見を受け止めていた慎吾だが、部下の上杉(朝井大智)と2人きりになった途端、相談役への聞くに堪えない悪口を垂れ流しながらエレベーターのボタンを連打。お手本のようなフキハラ=不機嫌ハラスメント全開だ。さらには息子の圭吾(高嶋龍之介)の顔をまじまじと眺め、「本当にママ似だよな。パパに全然似てない」と吐き捨てる無神経ぶり。その冷めた表情からは1ミリも息子への愛情を感じられない。茉海恵も慎吾には父親を任せられないと判断し、一人で産むことを決めたのだろう。

 そんな慎吾が、ニセママ計画の核心に迫りつつある。いろはの年齢から逆算し、自分が父親で間違いないと確信する慎吾は、上杉から茉海恵に別の相手がいた可能性を指摘されると雰囲気が一変。「茉海恵が浮気するわけないだろ? 何言ってんだよ」と笑っていたところからの真顔に戦慄させられた。茉海恵の会社をターゲットにするのはフラれた腹いせだと思っていたが、もしかしたら思い違いかもしれない。茉海恵にまだ未練があり、自分を頼らざるを得ない状況に追い込みたいのではないか。次回は、慎吾と茉海恵の直接対決が見どころとなりそうだ。

金曜ドラマ『フェイクマミー』

「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE」第1回大賞作をドラマ化。正反対の人生を歩んできた2人の女性が、子どもの未来のために“母親のなりすまし”という禁断の契約を結ぶ。

■放送情報
金曜ドラマ『フェイクマミー』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:波瑠、川栄李奈、向井康二(Snow Man)、中村蒼、野呂佳代、池村碧彩、橋本マナミ、中田クルミ、 津田篤宏(ダイアン)、筒井真理子、利重剛、若林時英、宮尾俊太郎、朝井大智、筧美和子、浅川梨奈、笠松将、田中みな実
脚本:園村三
演出:ジョンウンヒ、嶋田広野、宮﨑萌加
主題歌:ちゃんみな「i love you」(NO LABEL MUSIC / Sony Music Labels Inc.)
プロデュース:韓哲、中西真央、唯野友歩
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/fakemommy_tbs/
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