興収で読む北米映画トレンド
『ブラックフォン 2』北米No.1でホラーの強さを証明 ルカ・グァダニーノ新作は渋い成績に
やはりホラージャンル強し、か。10月17日~19日の北米映画週末ランキングは、イーサン・ホーク主演『ブラックフォン 2』がNo.1を獲得。週末3日間の興行収入は2650万ドルと、ユニバーサル・ピクチャーズが当初予想していた1800万ドルを大幅に上回った。
本作はブラムハウス製作、『ドクター・ストレンジ』(2016年)のスコット・デリクソン監督による『ブラック・フォン』(2022年)の続編。4年前、連続殺人鬼グラバーによって誘拐された少年フィニーは、グラバーを葬って唯一の生き残りとなった。ところが、17歳のフィニーは今も事件のトラウマに苦しんでいる。悪夢に悩まされる妹グウェンに説得されて向かったキャンプ場で、2人はグラバーとの思わぬ真実を知る……。
前作で倒された殺人鬼グラバーが、死者として無敵の復活。前作はジョー・ヒルによる同名小説の映画化だったが、今回は完全オリジナル脚本で、グラバー役のイーサン・ホークをはじめ、メイソン・テムズ、マデリン・マクグロウほか主要キャストも続投した。
前作は映画業界がコロナ禍から回復するさなかに公開され、北米オープニング興行収入2363万ドルという好スタートを記録。製作費1800万ドルに対し、全世界興行収入1億6144万ドルという大ヒット作となり、『トップガン マーヴェリック』や『ジュラシック・ワールド/新たなる支配者』などと並んで2022年のサマーシーズンを牽引した。
『ブラックフォン 2』の初動成績は前作をわずかに上回っており、続編映画としては好調と言える。海外市場では興行収入1551万ドルを記録し(とりわけメキシコで秀でた成績となった)、現時点での世界興収は4201万ドル。製作費3000万ドルの回収にはもう少し時間がかかりそうだが、スタジオが期待した通りの堅実な興行だ。
批評家・観客の反応も好ましく、Rotten Tomatoesでは批評家スコア74%・観客スコア85%と高水準。映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「B」評価となった。前作はRotten Tomatoesで批評家81%・観客88%、CinemaScoreは「B+」評価なのでやや及ばないものの、ほぼ見劣りしないクオリティと言ってよいだろう。日本公開は11月21日。