『チェンソーマン』“チョロすぎる”デンジが帰ってきた 視聴者も惑わす魔性の女たちを分析

姫野

 次にデンジの前に現れたのは、眼帯でショートヘアの先輩デビルハンターの姫野。ノリがよくて自堕落な姫野は、永遠の悪魔の討伐の際に「今回の悪魔を倒した人には、私がほっぺにキスしてあげます」と、冗談交じりでご褒美を提案する。しかしデンジも少し成長を見せ、「エッチなことは理解し合った人間同士でするから気持ちいい。名前も知らないあんたの唇には興味ねえ」と突っぱねたところに漢気を一瞬感じたが、「じゃあデンジくんが倒したらベロ入れたキスしてあげる」とのご褒美の上乗せに、デンジの決心はもろくも崩れ去る。マキマへの気持ちに対する裏切りの代償は大きく、悪魔の討伐後の飲み会で酔った姫野から“ゲロチュー”されるという、とんだファーストキスを味わってしまったデンジ。そのまま姫野の部屋に連れ込まれ、初エッチへの期待が高まるものの、すんでの所でマキマからもらったチュッパチャプス(間接キス)の味を思い出し、何とか思いとどまりマキマに立てた操を守るのだった。

“チョロさ”が示す新たな主人公像

 ポチタと融合したことで人間でも悪魔でもない特殊な存在になったデンジ。常に理性と欲望の間で揺れ動いているところが実に人間らしく、完全無欠ではないところが新たなヒーロー像と言えるだろう。騙されやすく流されやすい、その“チョロさ”は人として欠点ではあるが、それは彼が持っている優しさやピュアさの裏返し。また、一線を越えるギリギリで踏み止まれる、芯の強さもデンジに共感を寄せることができる一因だ。『チェンソーマン』に登場する女性たちは、デンジのそんな“愛すべきチョロさ”に知らず知らずのうちに魅力を感じ、心のどこかで本当にそういう関係になってもいいと思っているのかもしれない。

 ジャンプヒーローといえば、「海賊王になりたいから」「強くなりたいから」「鬼を根絶やしにしたいから」など戦う目的意識が明確だ。しかしデンジがデビルハンターとして戦う理由は、毎日飯が食えて寝る場所がもらえるからであり、彼の望みは「食って寝て、女とイチャイチャして過ごす」こと。『チェンソーマン』がこれだけの人気を得ている一因として、いわゆる三大欲求のために生きるデンジの姿に、人間としての至極まっとうな姿を感じているからかもしれない。

 『チェンソーマン レゼ篇』では、謎の少女・レゼが登場。雨宿りで出会うシーンは実にロマンチックで見どころたっぷりだ。お互いに惹かれ合い、気づけばデンジはレゼがアルバイトをするカフェ「二道」に通う。そしてレゼは、デンジを夜の学校へ誘う。月明かりに照らされるレゼの美しさに、果たしてデンジは理性を保つことができるのか!? まるで韓国の恋愛ドラマのように美しくドラマチックに描かれる、デンジのロマンス展開にも注目だ!

■公開情報
劇場版『チェンソーマン レゼ篇』
全国公開中
キャスト:戸谷菊之介(デンジ)、井澤詩織(ポチタ)、楠木ともり(マキマ)、坂田将吾(マキマ)、ファイルーズあい(パワー)、高橋花林(東山コベニ)、花江夏樹(ビーム)、内田夕夜(暴力の魔人)、内田真礼(天使の悪魔)、高橋英則(副隊長)、赤羽根健治(野茂)、乃村健次(謎の男)、喜多村英梨(台風の悪魔)、上田麗奈(レゼ)
原作:藤本タツキ『チェンソーマン』(集英社『少年ジャンプ+』連載)
監督:𠮷原達矢
脚本:瀬古浩司
キャラクターデザイン:杉山和隆
副監督:中園真登
サブキャラクターデザイン:山﨑爽太/駿
メインアニメーター:庄一
アクションディレクター:重次創太
悪魔デザイン:松浦力/押山清高
衣装デザイン:山本彩
美術監督:竹田悠介
色彩設計:中野尚美
カラースクリプト:りく
3DCG ディレクター:渡辺大貴、玉井真広
撮影監督:伊藤哲平
編集:吉武将人
音楽:牛尾憲輔
配給:東宝
制作:MAPPA
主題歌:米津玄師「IRIS OUT」(Sony Music Labels Inc.)
エンディングテーマ:米津玄師、宇多田ヒカル「JANE DOE」(Sony Music Labels Inc.)
©2025 MAPPA/チェンソーマンプロジェクト ©藤本タツキ/集英社
公式サイト:https://chainsawman.dog/
公式X(旧Twitter):@CHAINSAWMAN_PR

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