『放送局占拠』“伊吹”加藤清史郎が口にした“本当の標的” 傀儡子が例の場所に隠したモノ
官房長官の息子である式根(山口大地)の闇が明らかになり、“座敷童子”の正体が人質のひとりだった忽那翡翠(齊藤なぎさ)であることが判明した前回。伊吹(加藤清史郎)は“傀儡子”の闇を白日のもとに晒すと語り、式根の解放と引き換えに屋代(高橋克典)をテレビ日本の局内へ連れてくる“人質交換”を要求するのである。その目的は、屋代の生体認証がなければ入口のロックを解除できない“例の場所”へ入ることに他ならない。
9月13日に放送された『放送局占拠』(日本テレビ系)は第9話。いよいよ物語は本格的に最終局面へと突入する。本庄(瀧内公美)が同行する人質交換の隙に、別の通用口から天草(曽田陵介)たちSATを潜入させる計画が立てられるが、それはあっさりと伊吹たちに見破られてしまう。さらにその裏をかくようにして、武蔵(櫻井翔)は大和(菊池風磨)と共に局内へと潜入。そんななか、伊吹に銃を向けた屋代は、“がしゃどくろ”こと安室流華(瞳水ひまり)に撃たれてしまう。まさしく前回志摩(ぐんぴぃ)が危惧した通りのことが起きてしまったのである。
さて、妖たちがとうとうたどり着いた“例の場所”。中の様子はテレビ局によくあるちょっとした倉庫のようではあるが、ここは傀儡子が管理し利用していた「闇のデータ保管庫」だと伊吹は説明する。そこに置かれた資料は、いずれも傀儡子が過去に隠蔽してきた犯罪の証拠たち。これらを残しておくことで「政界や財界の権力者たちの弱みを握りつづける」のが、傀儡子のやり方というわけだ。
そういえば人質交換が始まる前、屋代は本庄に対して、式根の起こした事件を隠蔽したことについてこう話していた。「あの男の父親(すなわち、官房長官)の弱みを握ることができた」「より大きな正義のためだ」と。今回のラスト、過去に何らかのもみ消しを奄美(戸次重幸)――データ保管庫に入るために必要な、もう1人の生体認証は奄美のものであった――に依頼していたことが判明する沖野(片岡礼子)は、屋代こそが傀儡子であると証言する。それが真実かどうかは定かではないが、少なくとも屋代と奄美は、傀儡子本人、あるいはそれに近い存在であることは間違いないだろう。
もう1人、傀儡子が隠蔽しようとしていた事件について虚偽の情報を拡散するSNSの裏アカを持っていた真鍋(宮部のぞみ)は、“インフルエンサー”という立場であることを理由に利用されたといったところか。いずれにせよ、このデータ保管庫に置かれていた資料の数々は興味深い。「鎌鼬事件」や「あかなめ事件」など今作で描かれた事件のほか、『大病院占拠』(日本テレビ系)に登場した、当時の神奈川県知事・長門道江の名前や、クラブタンゴでのドラッグパーティ事件、『新空港占拠』(日本テレビ系)の占拠事件自体の資料や、弁護士の米沢秀夫の名前、建設会社・白河組による横領事件など過去の作品とのリンクが確認できる。さらに『潜入兄妹』(日本テレビ系)で描かれた“幻獣”による広域強盗事件も、誰かしらの弱みを握る証拠となっているのか。
その一方、大和と行動を共にしていた武蔵は、報道局にある奄美のデスクを捜索し、そこでなにやら人名と思しき言葉をつぶやき、ひと足先に傀儡子の正体に気が付くのである。ところが、共闘関係にあったはずの大和から首にカッターを突きつけられてしまう。この一連でわかるのは、やはり傀儡子は奄美から直接たどれる位置にいる人物だということだろう。大和の真意は見えておらず、また伊吹たち妖は、“本当の標的”=(SNSなどで好き勝手言う民衆)をねらった“例の計画”を口にする。これまでちりばめにちりばめたあらゆる要素の整合性をどのようにとってくるのか、最終話はそれらの“収めかた”に注目することにしよう。
『占拠』シリーズ第3作目。『大病院占拠』では鬼、『新空港占拠』では干支をモチーフにしたお面が印象的だった武装集団だったが、『放送局占拠』では、妖怪のお面をかぶった妖が500名の人質をとり、放送局を占拠する。
■放送情報
『放送局占拠』
日本テレビ系にて毎週土曜21:00〜放送
出演:櫻井翔、比嘉愛未、ソニン、瀧内公美、ぐんぴぃ、高橋克典、加藤清史郎、曽田陵介、吉田芽吹、戸次重幸、福澤朗、片岡礼子、齊藤なぎさ、山口大地、真山章志、亀田佳明、北代高士、宮部のぞみ、菊池風磨
チーフプロデューサー:道坂忠久
プロデューサー:尾上貴洋
演出:大谷太郎、茂山佳則、西村了
脚本:福田哲平
音楽:ゲイリー芦屋
制作協力:AX-ON
©日本テレビ
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