唐田えりか、『102回目のプロポーズ』で地上波復帰 鈴木おさむが託したヒロインの重み

鈴木にとって『102回目のプロポーズ』は、自身の引退前にどうしても成し遂げたかった企画でもあるという(※)。19歳のときに観たオリジナル版が彼の創作人生の原点であり、この続編は彼にとって集大成ともいえる挑戦だ。

今回のキャスティングで最も注目しているのが、唐田えりかのヒロイン抜擢だ。活動休止を経て彼女が本格的に復帰したのは、鈴木おさむが企画・プロデュース・脚本を手掛けたNetflixのドラマ『極悪女王』だった。同作で唐田は、長与千種役として文字通りの体当たり演技を披露。過去のイメージを覆す迫力と覚悟を示し、女優として再評価を受ける契機となった。
そして今回、鈴木のライフワーク的企画である『102回目のプロポーズ』で再びヒロインに起用されたことは、単なる偶然ではない。従来であればスキャンダル後の地上波復帰は難しかったが、配信での成功を足がかりに再び地上波へ挑むというプロセスは、令和の芸能界における新しいキャリアパスを象徴している。鈴木は『極悪女王』で示された覚悟と演技力への信頼があったからこそ、地上波の大役を唐田に託したのだろう。彼女の復帰は話題性だけでなく、俳優としての実力によって切り拓かれたものだ。

光が達郎と薫の娘として登場する設定は、作品を受け取る側にとって大きな魅力になっている。「2人はその後どうなったのか」という前作の続きを物語に組み込むことで、往年のファンには懐かしさを、新しく触れる視聴者には確かな説得力を与えている。さらに、かつての非モテ男だった達郎が、今回は娘を思う父として登場することも象徴的だ。太陽という“現代版・達郎”と向き合うことで、世代を超えた共感と笑いが生まれる。武田鉄矢の存在は、作品に正統性と温かみをもたらすだろう。
『102回目のプロポーズ』は、伝説の名作を現代に蘇らせるだけではない。そこには、企画者・鈴木おさむの戦略的ビジョン、唐田えりかのキャリア再生の物語、そして武田鉄矢というレジェンドへの敬意が折り重なっている。
令和の恋愛観を反映した三角関係は、かつての純愛ドラマの枠を超え、観客に「愛とは何か」を改めて問いかけてくれるのではないかと期待している。唐田にとっては俳優としての新しいスタートを切る舞台であり、鈴木にとってはクリエイター人生の集大成でもある。この作品が、懐古だけにとどまらず、令和のドラマ史に新たな1ページを刻むのか。放送を迎えるその瞬間が待ち遠しい。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2025/09/post-2150025.html
■放送・配信情報
『102回目のプロポーズ』
フジテレビにて放送、FODにて独占配信
出演:唐田えりか、せいや(霜降り明星)、伊藤健太郎、武田鉄矢ほか
企画:鈴木おさむ
企画・プロデュース:栗原美和子(共同テレビ)
脚本:私オム
演出:木村真人
プロデューサー:鹿内植、高橋眞智子(共同テレビ)
制作協力:共同テレビ
制作著作:フジテレビ
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