妻夫木聡×日曜劇場は間違いない！　『あんぱん』を経て進化した俳優としての深み

　10月期のTBS日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』の主演を妻夫木聡が務めることが発表された。

　早見和真の同名小説を原作とした本作は、人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語を描いたもの。妻夫木は大手税理士法人に勤める税理士だったが、あることをきっかけに税理士としての挫折を味わい、人生に希望を見出せなくなってしまった栗須栄治を演じる。栗須は馬主である山王耕造と出会い、競走馬とともに波乱と情熱に満ちた20年間を走り抜けることになる。


　演出を手がけるのは『海に眠るダイヤモンド』（2024年／TBS系）や映画『ファーストキス 1ST KISS』（2025年）の監督で知られる塚原あゆ子。塚原の作品の特徴は、女性はかわいらしさと凛々しさを共存させ、男性は強い意志と美しさを見せること。妻夫木が演じる栗須は塚原の手によってどのように描かれるのかも注目したいポイントの一つとなる。

　さらに妻夫木はこれまでにも日曜劇場で主演を務めており、相性は抜群だ。『危険なビーナス』（2020年／TBS系）では、異父弟の失踪をきっかけに名家の遺産を巡る謎に挑むことになる獣医師の手島伯朗を演じた。手島は物語の中心でありながら、一言で言ってしまえば“地味男”。正義感が強く真面目な性格は、さまざまな思惑と欲が渦巻く資産争いの中ではいいように使われるのではないかと心配になったし、美女にはめっぽう弱い手島が、素性が確かでない“謎の美女”・楓（吉高由里子）に惹かれていく様子は、さらに何かに巻き込まれてしまうのでないかという不安を感じさせた。妻夫木の演技と佇まいはミステリーにおける“ハラハラ感”を担うものとなっていたと言っても過言ではないだろう。

　一方で『Get Ready!』（2023年／TBS系）で演じた“エース”こと波佐間永介は、“クセつよ男”。昼間は洋菓子店「カーサブランシェ」でパティシエをしているが、実際は天才的なオペ技術を持つ執刀医。オペ患者との交渉役を務めている“ジョーカー”こと下山田譲（藤原竜也）とバディとなって執刀する患者を決めていくが、エースの判断基準は報酬の額でなく患者が「生き延びる価値があるのか」ということ。彼の判断にジョーカーら仲間たちが戸惑うことも多く、信念の強さを感じさせる一匹狼のようなキャラクターだった。

　妻夫木は現在、NHK連続テレビ小説『あんぱん』にも出演中。演じている八木信之介は嵩（北村匠海）の戦友で、古年兵の暴力から何度も嵩を守り、指導の名目による隔離場所での単独作業だけでなく、幹部候補生試験を受けさせる根回しをするなど軍に馴染めない嵩が生き抜いていく手助けをしてくれた。終戦後、2人は東京で再会し、良き友人として関係を続けている。妻夫木の持ち前の優しい雰囲気と手島の強い正義感、そしてエースのような冷静さが掛け合わされたような八木は、のぶ（今田美桜）と並んでややか弱い印象を受ける嵩を支え、背中を押す存在として大きな安心感を与えている。

　このように作品によってさまざまな表情を見せる妻夫木が次に演じるのは、税理士だったが馬に出会う男。お金や数字に向き合うイメージのある税理士から、生き物である馬と向き合い、夢を託す仕事へ。人生の大きな方向転換となるが、妻夫木であればその決断を大胆に、かつその中で起こる心情の変化を丁寧に演じてみせてくれることだろう。

■放送情報
日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』
TBS系にて、10月スタート 毎週日曜21:00～21:54放送
出演：妻夫木聡
原作：早見和真『ザ・ロイヤルファミリー』（新潮文庫刊）
脚本：喜安浩平
演出：塚原あゆ子、松田礼人、府川亮介
プロデュース：加藤章一
協力プロデュース：大河原美奈、小髙夏実
編成：佐藤礼子、中野翔貴
製作：TBSスパークル／TBS
©TBSスパークル／TBS
公式サイト：https://www.tbs.co.jp/RoyalFamily_tbs/
公式X（旧Twitter）：@royalfamily_tbs
公式Instagram：royalfamily_tbs
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