『しあわせな結婚』で大石静が描く“しあわせ”とは? 毒をはらんだ創作哲学から紐解く
では、本作『しあわせな結婚』において、どんな“まなざし”と “毒”を込めて台詞を紡いでいくのだろうか。
記者会見で「法律に触れるようなことが家族や妻に起きたとき、法曹人としてどう対処するか、夫としてどう思うか。そのせめぎあいをやろうと思っています」と語っていた大石。中川慎子ゼネラルプロデューサーも「主人公・幸太郎は、“道徳や常識の向こう側にある真実”を見極め、夫婦の在り方、ひいては自分の生き方を問うことになる」とのコメントを発表している(※5)。また、大石のブログには「阿部さんの魅力を、どんな風に生かせばいいか、私の腕の見せどころだと思って頭をひねっています」ともいう一節も(※6)。大石流サスペンスによって、どんな阿部が引き出されるのだろうか。
阿部サダヲ×松たか子、夫婦役で示すキャリアの“到達点” 大石静とのタッグに評論家も期待
7月期のテレビ朝日系木曜ドラマ『しあわせな結婚』で、阿部サダヲと松たか子が夫婦役で共演することが発表された。夫婦役としては10年…阿部演じる幸太郎が弁護士として「離婚されたらどうですか?」「人間は所詮ひとり。“2人でいたほうが幸せ”というつがいの幻想から解放されるべき」と依頼人に語る場面から第1話はスタートする。つまり、いきなり『しあわせな結婚』というタイトルへのアンチテーゼをぶつけるという刺激的な幕開けなのだ。阿部から発せられたその言葉は、絶妙なバランスでシュガーコートされた“棘”となり、我々はその真意を探るべく物語の奥へ奥へと分け入りたくなる。
また、“週に一度は食事会”というネルラファミリーのルールに否応なしに参加することになった幸太郎。一癖も二癖もある父、弟、叔父と、ほとんど言葉を発することなく食べ続けるネルラと食卓を囲むシーンは、湿度を伴う不穏な空気をまとっていて、 “しあわせ”からはかなり遠い。ネルラの“秘密”が明かされていく中で、ファミリーとの関係や描かれるトーンがどう変化していくのかも見どころの一つとなりそうだ。
果たして、ネルラとの結婚を選んだ幸太郎が見つけるものは何なのか。大石が放つ“毒”気を堪能しながら、“しあわせ”の着地点をしっかりと見届けたい。
参照
※1. https://post.tv-asahi.co.jp/post-442672/
※2、3. 『美術手帖』2018年2月号(特集「テレビドラマをつくる」大石静インタビューより)
※4. https://madamefigaro.jp/culture/241219-oishi-shizuka.html
※5. https://www.tv-asahi.co.jp/shiawasena-kekkon/news/0001/
※6. http://blog.5012.jp/ohishi/archives/2025/03/post_718.html
大石静が脚本を手がける、夫婦の愛を問う“完全オリジナルホームドラマ”であり、令和の“マリッジ・サスペンス”。主演を務める阿部サダヲと松たか子は、10年ぶりに夫婦役を演じる。
■放送情報
木曜ドラマ『しあわせな結婚』
テレビ朝日系にて、7月17日(木)スタート 毎週木曜21:00~21:54放送
出演:阿部サダヲ、松たか子、板垣李光人、段田安則、岡部たかし、玉置玲央、金田哲、馬場徹、辻凪子、堀内敬子、小松和重、杉野遥亮
脚本:大石静
監督:黒崎博、星野和成、楢木野礼
ゼネラルプロデューサー:中川慎子(テレビ朝日)
プロデューサー:田中真由子(テレビ朝日)、山形亮介(テレビ朝日)、森田美桜(AOI Pro.)、大古場栄一(AOI Pro.)
音楽:世武裕子
主題歌:Oasis「Don’t Look Back In Anger」(Sony Music Labels Inc.)
制作協力:AOI Pro.
制作著作:テレビ朝日
©テレビ朝日
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