永尾柚乃が斎藤工に堂々たる態度で挑む 『誘拐の日』偽りの親子に“名バディ誕生”の予感
テレビ朝日系で7月8日から放送がスタートした斎藤工主演のドラマ『誘拐の日』第1話は、冒頭から息をつく間もない展開で幕を開けた。
罪を背負う覚悟で踏み出した一歩が、思いがけず一人の少女との出会いを生み、そこから奇妙なバディ関係が生まれてしまう。そんな皮肉にも似た始まりが、ただの誘拐劇では終わらない物語の気配を漂わせる第1話。踏み越えてしまった一線の先で、父と娘を装う2人は、互いに秘密を抱えながら、いつしか運命を共にする“バディ”となっていく。
主人公・新庄政宗(斎藤工)は、心臓病を患う娘・芽生(日下莉帆)の手術費用を工面するため、妻の汐里(安達祐実)の発案で裕福な病院長の娘・七瀬凛(永尾柚乃)を誘拐しようとする。しかし、いざ実行となっても最後の一歩を踏み出せずにいる政宗の背中を、電話越しの妻が強引に押す。意を決して院長宅近くに車を走らせると、突然、ひとりの少女が政宗の車の前に飛び出してきた。間一髪で事故を免れたものの、少女は気を失って倒れてしまう。そして彼女こそが、ターゲットである凛だった。
成り行きのまま凛を連れ去ることに成功するが、目を覚ました凛は自分が誰なのかをすっかり忘れていた。目を覚ますなり「あなたは誰なの?」と詰め寄る凛に、政宗は思わず「父親だ」と嘘をついてしまう。なんとかその場はしのぐものの、凛の横柄な態度は記憶喪失とは思えないほどだ。目を離した隙に凛は部屋を探し始め、子ども用の洋服や遊び道具を見つけると、「どうしてこんなセンスの悪い服があるの?」と政宗を問い詰める。「黄ばみ、不潔、下品、だらしない……」と次々に浴びせる言葉は、どちらが誘拐犯かわからなくなるほどで、立場が逆転してしまっている。この奇妙な空気を成立させているのは、永尾柚乃の堂々たる演技力だろう。
政宗は凛の実家に連絡を試みるが、一向につながらない。身代金を要求するどころか、計画を進めることすらできない。そんな中、凛は部屋を抜け出して近所の工場へ向かい、言葉の通じない外国人労働者を相手に、流暢なタガログ語で助け舟を出す。さらに凛はタガログ語だけでなく、英語、フランス語、アラビア語、中国語……まで操るマルチリンガルだったことが判明する。
そもそも政宗がここまで追い詰められたのは、汐里の存在が大きい。汐里は3年前に政宗と芽生を残して失踪していたが、突然現れ、娘の手術費用を確保するために凛の誘拐を持ちかけたのだった。会社の上司や友人にまで頭を下げ、金策に奔走してきた政宗にとって、他に選択肢は残されていなかったのだろう。
ようやく汐里と連絡が取れた政宗は、凛の父親が芽生が入院している栄進記念病院の院長だと知り、動揺を隠せない。さらに追い討ちをかけるように、七瀬一家が何者かに殺害される事件が発生する。計画は一気に暗転し、このままでは政宗が殺人犯に仕立て上げられてしまうのは時間の問題だ。