『あんぱん』津田健次郎はなぜ俳優としても重宝される? 年齢を重ね声に追いついた“渋み”

 翌2021年に出演した『最愛』が、初の連続ドラマレギュラー作となった。同作で津田が演じた山尾敦は、宮崎大輝(松下洸平)の上司である警視庁捜査第一係長。観察眼が鋭く、また部下たちへの接し方は茶目っ気たっぷり。それにより部下からの信頼の厚さも伺える。犯人を突き止めたかと思いきや不起訴の判決が出たシーンでは、あの低く渋い声で「ありえねーだろ不起訴は!」と激高しており、声量もあってその迫力は凄まじかった。

 それ以降も、渋い大人の威厳・色気を感じる役を重ねる津田。『西園寺さんは家事をしない』で演じたカズト横井は「イケオジすぎる」と話題に。主人公・西園寺一妃(松本若菜)と楠見俊直(松村北斗)の恋模様を描いた本作において、いわゆる“当て馬”となる人物を演じたのだが、西園寺が楠見に惹かれていることを悟り、身を引く姿には涙を誘われた。

 そして、『あんぱん』で演じる東海林明は、高知新報の編集局主任。主人公・のぶ(今田美桜)に高知新報の採用試験を受けることを薦めるという役どころだ。スルメをくわえた姿で登場した様子から、渋さはもちろん、一癖ある人物であることが伺える東海林。また、津田の味のある演技が東海林の深みを演出していた。

 このように、これまで培った表現力や、持ち前の渋い低音ボイスを活かし、多くの魅力的な役柄を演じる津田。ちなみに、筆者が津田を知ったのは2001年。きっかけはアニメ『テニスの王子様』だった。当時、「こんな爽やかなイケメンなのに、なんて渋い声を出すんだ!」と衝撃を受けたことを覚えている。

津田健次郎が考える、事件を“物語”として伝える意義 主演ドラマ『1995』に込めた思い

津田健次郎が主演を務めるドラマ『1995~地下鉄サリン事件30年 救命現場の声~』が、3月21日21時よりフジテレビ系で放送され…

 現在54歳の津田。これは持論だが、低く深みのある声に、外見が追い付いてきたのもドラマ出演が増えた理由の1つにあるのではないかと思う。表情に刻まれたシワにすら奥行き、色気を感じる瞬間がある。それは、津田がこれまで歩んできた表現の道の中で刻んできた歴史であり、武器に繋がったのだと。

参照
https://fujinkoron.jp/articles/-/17387?page=2

■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、二宮和也、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK

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