『WIND BREAKER』実写化における“3つのポイント” 水上恒司に“桜遥”の立体化が託される

桜遥・楡井秋彦・蘇枋隼飛の実写化が鍵に?

 3つ目は、キャラクターに命を吹き込む俳優たちだ。今回発表されたキャストは5名。そのなかでも特にセリフ量が多いと思われるのが、桜遥、楡井秋彦、蘇枋隼飛の3人だ。

 主人公・桜遥を演じるのは水上恒司。映画『あの丘でまた君と出会えたら』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞し、今もっとも勢いのある若手俳優の一人である。無愛想で他人との距離を測りながら生きてきた桜という役に、どれだけの繊細さと説得力を与えられるかが試される。

 楡井秋彦役は木戸大聖。『9ボーダー』(TBS系)、『海のはじまり』(フジテレビ系)では主人公を支える兄弟役として印象を残してきたが、本作では桜と肩を並べる相棒としての立ち位置が期待される。原作では“解説役”としてのセリフも多い楡井を、実写でどう自然に活かしていくのか注目される。

 蘇枋隼飛役には、『女神降臨』『#真相をお話しします』と絶えず話題作への出演を続ける綱啓永が抜擢。蘇枋は物腰が柔らかく、どこか飄々としながらも芯の強さを秘めた、原作でも屈指の人気キャラクターだ。軽やかさと圧倒的な強さ、その両面をどう表現するのか。俳優としての振り幅が問われる役どころである。

 そのほか、杉下京太郎役にはBE:FIRSTのJUNON、柊登馬役にはNHK連続テレビ小説『あんぱん』で注目を集めた中沢元紀、梅宮一役にはNetflix版『幽☆遊☆白書』で桑原を演じた上杉柊平が決定。フレッシュさと実力を兼ね備えたキャスティングが、物語に新たな体温を加えてくれそうだ。

 原作者・にいさとるも、「迫力あるアクションシーンも見応えがあったのですが、一人一人のキャストさんが丁寧に桜や梅宮などの作中の人物解釈に向き合い役作りをされているなと感じました」とコメントしており、キャラクター同士の関係性がスクリーンでどう交錯していくのか、注視したい。

 実写化について、現時点ではまだ情報も限られており、慎重な目で見てしまうのも無理はないだろう。けれど、本作に限らず、メディアミックスの中には“実写でしか伝えられない表現”があるのも確かだ。そうした挑戦に、誠実に向き合おうとする準備と熱量が、今回の映像化からはしっかりと感じられるように思う。

 2025年の冬、スクリーンに吹き荒れる“風”は、どんな物語を運んでくれるのか。

■公開情報
『WIND BREAKER/ウィンドブレイカー』
12月公開
出演:水上恒司、木戸大聖、綱啓永、JUNON(BE:FIRST)、中沢元紀、上杉柊平
原作:にいさとる『WIND BREAKER』(講談社「マガジンポケット」連載)
監督:萩原健太郎
脚本:政池洋佑
プロデューサー:加茂義隆
配給:ワーナー・ブラザース映画
©にいさとる/講談社 ©2025「WIND BREAKER」製作委員会
公式サイト:wb-movie.jp  
公式X(旧Twitter):@winbre_movie

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