『あんぱん』妻夫木聡の“多くを語らない”演技が示す異様な存在感 初朝ドラでの活躍を解説
『あんぱん』に妻夫木が登場してまだ数日だが、映画で発揮してきた言葉を必要としない表現力がひしひしと感じられる。第50話で嵩と八木が初めて対面したシーンでは、影の中に立つ八木の姿、身元を尋ねる静かな口調だけで異様な存在感があり、戦争パートのキーパーソンであることが察せられた。
初年兵を殴らないこと、嵩が井伏鱒二の詩集を所持していてもそれを糾弾しないことなど、八木の行動には何かしらの理由やバックボーンがあるのだろう。八木がそれを多く語るようなシーンはないかもしれないが、妻夫木がその表情や視線などで表現してくれるはずだ。
また、八木信之助という名前から、やなせたかしに大きな影響を与えた株式会社サンリオ創業者の辻信太郎がモデルではないかという説がある。発表済みの相関図では、戦後嵩と再会を果たすこと、のぶと嵩の人生に大きな影響を与えるようになることが記載されている。嵩の戦友として後の仲間として、八木の二面性、それを表現する妻夫木の芝居の二面性が楽しめるかもしれない。
キャリア28年にして記念すべき初の朝ドラ出演。これまでの経験を生かした記憶に残り愛されるキャラクターとして活躍してほしい。
■放送情報
2025年度前期 NHK連続テレビ小説『あんぱん』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:今田美桜、北村匠海、加瀬亮、江口のりこ、河合優実、原菜乃華、細田佳央太、高橋文哉、中沢元紀、大森元貴、二宮和也、戸田菜穂、浅田美代子、吉田鋼太郎、竹野内豊、妻夫木聡、阿部サダヲ、松嶋菜々子
音楽:井筒昭雄
主題歌:RADWIMPS「賜物」
語り:林田理沙アナウンサー
制作統括:倉崎憲
プロデューサー:中村周祐、舩田遼介、川口俊介
演出:柳川強、橋爪紳一朗、野口雄大、佐原裕貴、尾崎達哉
写真提供=NHK