『となりのナースエイド』から『ダメマネ！』へ　川栄李奈、コメディエンヌとしての現在地

　俳優としての川栄李奈の強みは、感情を重く見せないことにある。たとえ背景に深い悲しみや過去があっても、それを押し付けない軽やかさが、彼女の演技を観ていて心地よいものにしている。『となりのナースエイド』の桜庭澪でも、『ダメマネ！』の神田川美和でも、それは変わらないはずだ。

　しかし“軽さ”とは、決して“薄さ”ではない。適切な分量で感情を盛り、共演者や物語全体の空気を読んで動ける“空間を読む力”こそ、川栄の最大の武器だ。それが今作で、安田顕という“重力”のある俳優と拮抗することで、彼女の新たな面が開花する可能性がある。『ダメマネ！』は単なる痛快コメディではなく、川栄李奈という俳優の表現領域の拡張を示す作品になるかもしれない。主演力は既に証明済み。次に問われるのは、どこまで振り切れるかだろう。

　川栄がいま、“笑い”という舞台に立つことは、単なるジャンルの往還ではなく、俳優としての表現領域を更新し続ける意思の表れだ。『ダメマネ！』は、その現在地を映し出す試金石となるだろう。

参照
※https://realsound.jp/movie/2025/03/post-1947884.html

■放送情報
『ダメマネ！ －ダメなタレント、マネジメントします－』
日本テレビ系にて、4月20日（日）スタート 毎週日曜22:30〜放送
出演：川栄李奈、安田顕、千葉雄大、吉瀬美智子、寺島しのぶ、橋本じゅん、濱田マリ、鈴木仁、永野宗典、古田愛理、倉沢杏菜、増田梨沙
演出：瑠東東一郎、猪股隆一
脚本：宮本武史、岩崎う大（かもめんたる）、西垣匡基
音楽：瀬川英史、鈴木真人
チーフプロデューサー：松本京子
プロデューサー：藤澤季世子、池田健司、秋元孝之、大護彰子
制作協力：オフィスクレッシェンド
©日本テレビ
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