広瀬すず×石川慶監督『遠い山なみの光』に吉田羊、松下洸平ら出演 特報&新場面写真も

 石川慶が監督を務めた広瀬すず主演映画『遠い山なみの光』の公開日が9月5日に決定し特報映像が公開。追加キャストとして、吉田羊、松下洸平、三浦友和らの出演も発表された。

 本作は、『私を離さないで』などで知られるノーベル文学賞受賞作家カズオ・イシグロのデビュー作を、『ある男』で第46回日本アカデミー賞最優秀作品賞を含む最多9部門受賞を果たした石川監督が映画化するヒューマンミステリー。日本、イギリス、ポーランド合作の3カ国共同製作となっており、ポストプロダクションをポーランドで行うなど、ポーランド国立映画大学で映画を学んだ石川監督にとって原点回帰ともなる作品だ。

 日本人の母とイギリス人の父を持ち、ロンドンで暮らすニキ。大学を中退し作家を目指す彼女は、執筆のため、異父姉の死以来足が遠のいていた実家を訪れる。母の悦子は、長崎で原爆を経験し、戦後イギリスに渡ってきていたが、ニキは母の過去を何一つ聞いたことがない。夫と長女を亡くし、想い出の詰まった家で一人暮らしていた悦子は、ニキと数日間を共にする中で、最近よく見るという、ある“夢”について語り始める。それはまだ悦子が長崎で暮らしていた頃に知り合った、佐知子という女性と、その幼い娘の夢だったーー。

 なお本作は、フランス時間5月13日から24日にかけて開催される第78回カンヌ国際映画祭ある視点部門に選出され、正式出品が決定。石川監督作品がカンヌ国際映画祭に選出されるのは今回が初となる。

 主人公・悦子を演じる広瀬、謎多き女性・佐知子役の二階堂ふみに加え、長崎を離れイギリスで暮らす1980年代の悦子役を吉田が演じることが決定。広瀬演じる1950年代の長崎で暮らす悦子の約30年後を演じる。また、悦子の夫で、傷痍軍人の二郎役を松下、二郎の父で、かつては悦子が勤務していた学校の校長であり、悦子が大きな信頼を寄せる緒方役を三浦が演じる。そのほか、日本パートで柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜が出演する。

 悦子の約30年後を演じる吉田は、本作でほぼ全編英語での演技に初挑戦。撮影直前に単身イギリスへ短期留学、現地でのホームステイで磨きをかけた流暢な英語を劇中で披露している。本作の出演に寄せて吉田は「全編ブリティッシュアクセントの英語台詞は母国語でないもどかしさもありましたが、その不自由さと、言語に向き合った時間がそのまま知らず悦子の血肉になっていたと実感できたことは得難い経験でした」と語っている。

 日本での撮影後、イギリスパートを撮影した本作。石川監督は吉田について「イギリス訛りの英語の習得のため誰よりも早く現地入りされて、完璧に“30年前に渡英した悦子”としてクランクイン。本読みでのイギリス人スタッフの驚きと敬意に満ちた表情が、その圧倒的な説得力を物語っていました」とコメントを寄せている。

 悦子の夫・二郎を演じる松下については「松下さんは真摯に芝居に向き合い、次々と新たな表情を見せてくださいました。素晴らしい演技、ぜひご期待ください」と語り、二郎の父を演じた三浦については「役への姿勢、現場での佇まい、そして映画への深い洞察と愛情。そのすべてに学ぶことばかりでした」と述べ、信頼関係の深さをのぞかせた。

映画『遠い山なみの光』特報映像

 あわせて公開された特報映像では、「私がついた嘘」という言葉とともに、広瀬演じる1950年代長崎の悦子、二階堂演じる謎多き女性・佐知子、そして吉田演じるイギリスで暮らす1980年代の悦子らの顔が映し出される。さらに、場面は1980年代イギリスに移り、オーディションで選ばれたカミラ・アイコ演じる悦子の娘・ニキの「なぜイギリスに?」という問いかけに対し、吉田演じる悦子は「パパと出会ったからよ」とあしらうが、娘は「嘘」と鋭く切り返す。一体、だれが何の嘘をついているのか。意味深なシーンの断片とともに「彼女たちの、あの夏の記憶」という言葉が現れる。

 さらに、吉田演じる1980年代の悦子が英国調のティーカップを持ち、遠くを見つめる場面写真も公開。広瀬演じる1950年代の悦子が昭和の雰囲気の暖簾の前で佇む姿や、二階堂演じる佐知子のモダンなファッションが映える場面写真も公開された。

コメント

吉田羊

私演じる悦子は、主にイギリスでの撮影となりました。全編ブリティッシュアクセントの英語台詞は母国語でないもどかしさもありましたが、その不自由さと、言語に向き合った時間がそのまま知らず悦子の血肉になっていたと実感できたことは得難い経験でした。撮影現場では、石川監督と一体となり、複雑に交差する強さと弱さの中に浮かび上がる悦子の本心を手繰り寄せるような日々。それは途方もないようで、優しい作業でした。また今回、カンヌ国際映画祭への正式出品が決まったという報せを聞きとても嬉しく、この先、日本が誇る石川監督の作品が世界中の映画館でかけられる姿を想像しては今から昂揚しています。
素晴らしい日英両チームとご一緒させていただきましたこと、心より感謝申し上げます。皆様にお届けできる日を心待ちにしております。

石川慶監督

ロンドン時代の悦子のキャスティングは、イギリスでの公開も見据えて海外チームとともに進め全会一致で吉田羊さんに決定しました。イギリス訛りの英語の習得のため誰よりも早く現地入りされて、完璧に“30年前に渡英した悦子”としてクランクイン。本読みでのイギリス人スタッフの驚きと敬意に満ちた表情が、その圧倒的な説得力を物語っていました。
松下さんは真摯に芝居に向き合い、次々と新たな表情を見せてくださいました。素晴らしい演技、ぜひご期待ください。
三浦さんには僕の強い希望でオファーしました。役への姿勢、現場での佇まい、そして映画への深い洞察と愛情。そのすべてに学ぶことばかりでした。

コメント(カンヌ映画祭出品について)

石川慶監督

一報を聞いて、まずは心からホッとしました。正直な気持ちです。
この歓びは、これから映画祭に向けて少しずつ実感が湧いてくるのだと思います。
キャスト、スタッフ、関係者の皆さま、長崎の方々、そしてカズオ・イシグロさんに、心から感謝いたします。
本当にたくさんの人の思いが込められた作品です。
その思いが、カンヌを通して世界中に届きますように。

広瀬すず

素直にとっても、嬉しく光栄に思います。ゾクゾク不穏な空気が漂っていて、その作品の空気にちゃんとのまれながら日々お芝居を楽しませてもらった現場でした。まだ私も完成を観れていませんが、監督たちと、この喜び、幸福感を共有できること、何より嬉しいです。

二階堂ふみ

この作品が日本に留まらず世界の方々に観て頂けること、とても嬉しく思います。
あの時代と今を繋ぐ、素晴らしい作品です。情熱を注いだ石川監督、全てのスタッフの方々へ、おめでとうございます!

■公開情報
『遠い山なみの光』
9月5日(金)TOHOシネマズ 日比谷ほか全国ロードショー
主演:広瀬すず、二階堂、吉田羊、カミラ・アイコ、柴田理恵、渡辺大知、鈴木碧桜、松下洸平、三浦友和
原作:カズオ・イシグロ/小野寺健訳『遠い山なみの光』(ハヤカワ文庫)
監督・脚本・編集:石川慶
製作幹事:U-NEXT
制作:分福/ザフール
共同制作:Number 9 Films、Lava Films
配給:ギャガ
助成:JLOX+文化庁 PFI
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