『あんぱん』加瀬亮が第4話でまさかの退場 「大志を抱きや」はのぶの未来を照らす言葉に

 NHK連続テレビ小説『あんぱん』の第1週も折り返しを迎え、少しずつ物語の骨格が姿を現してきた。第4話では、ヒロイン・のぶ(永瀬ゆずな)が“人を思う強さ”を見せたエピソードが描かれる。

 この日、のぶが向き合ったのは、2つの“別れ”だった。ひとつは、出張に出る父・結太郎(加瀬亮)との束の間の別れ。もうひとつは、御免与町に身を寄せていた嵩(木村優来)に起きた、母・登美子(松嶋菜々子)の突然の家出だった。

 「再婚する」と置き手紙だけを残して、登美子は柳井家を出ていく。伯父・寛(竹野内豊)に引き取られる形で御免与町にやってきた嵩は、ひとりぼっちになってしまった。そんな中で、「1カ月お父ちゃんが出張行くだけでもこんなにさみしいがやき、嵩くんはもっとさみしいに決まっちゅう」と気づくのぶ。その言葉の裏には、嵩の痛みを想像する、のぶのまっすぐな心がにじんでいる。

 昼休み、いつもひとりでお弁当を食べている嵩のそばに寄り添い、一緒にごはんを食べるのぶの姿は微笑ましくも、胸を打つワンシーンだった。しかしそこへ現れたのは、いじめっ子の岩男(笹本旭)ら同級生。これまでは大人しかったのぶだが、今回ばかりは黙っていなかった。「嵩をいじめるがは許せん」と、思わず岩男を投げ飛ばしてしまう。結果として岩男は頭にケガをしてしまい、のぶは母・羽多子(江口のりこ)から厳しく叱られる。たとえ正義感からの行動でも、人を傷つけるのはよくない——そんな教えに、のぶはじっと耳を傾ける。だが、その場に居合わせた嵩は、のぶをかばう。「のぶちゃんは、ぼくを守ってくれただけなんだ」と。

 田川家に謝りに行く途中、のぶは納得のいかない表情で口をとがらせる。「弱いものいじめするがが悪いがよ!」と、はっきりと言葉にしたその強さは、のぶという少女の芯の強さを表していた。永瀬ゆずなは、そんな感情の揺らぎを丁寧に演じきっていた。

 週末の日曜の朝。のぶが喧嘩をしたと聞いて、祖母・くら(浅田美代子)は「女らしゅうしなさい」と小言を言うが、のぶはおどけた変顔でかわす。祖父・釜次(吉田鋼太郎)も、どこか呆れながらも温かく見守っている。朝田家の人々の優しさと寛容さに包まれて、のぶの天真爛漫さはますます輝いていく。

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