『クジャクのダンス』心麦と春生が最後に交わした“感謝の言葉” 原作への敬意示す結末に

 気づけば2人はジャングルの中にいる。

 雪を舞う森を歩く心麦がたどり着いた先にいたのは春生。「ありがとう。お父さんをお父さんにしてくれて。心麦。生まれてきてくれてありがとう」――リリーの口調から涙ぐんでいるのが伝わってくる。見つめ合う2人。心麦は涙が溢れるまま、春生を見上げている。照れくさそうに笑顔を向ける春生が心麦の涙を拭うと、心麦が春生の胸に飛び込んでいく。これは間違いなく、広瀬とリリーの関係性だからできたシーンであり、ここまでのインターバルがあったからこその芝居のはずだ。加えて、春生が心麦に感謝の言葉を贈る描写は、ドラマオリジナル。力郎と友哉、鳴川と阿南(瀧内公美)、それぞれの親子の物語もしっかりと描き、心麦が父に一貫して抱いていた本作のキャッチコピーである「信じ抜く。それだけが、私の希望」が、友哉にも、阿南にも当てはまるのは見事である。

 心麦が松風(松山ケンイチ)を「松風先生」と呼び、今後を想像させるラストは原作通りであるが、そこに演技が乗ると印象はまた違ってくる。飄々とした松風に、どんな時も凛として芯の強い心麦。改めてベストな配役と、原作への敬意を感じさせるドラマだったように思う。

金曜ドラマ「クジャクのダンス、誰が見た?」

「このマンガがすごい!2024」にもランクインした浅見理都の同名漫画を実写化するヒューマンクライムサスペンス。クリスマスイブの夜に元警察官の父親を殺された娘が、遺された手紙を手がかりに真相に迫っていく。

■配信情報
金曜ドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:広瀬すず、松山ケンイチ、森崎ウィン、瀧内公美、絃瀬聡一、野村康太、清乃あさ姫、斉藤優(パラシュート部隊)、酒井敏也、酒向芳、藤本隆宏、西田尚美、仙道敦子、原日出子、リリー・フランキー、磯村勇斗
原作:浅見理都『クジャクのダンス、誰が見た?』(講談社『Kiss』所載)
脚本:金沢知樹
プロデュース:中島啓介、内川祐紀、丸山いづみ
演出:田中健太、青山貴洋、福田亮介、棚澤孝義
主題歌:Ado「エルフ」(ユニバーサル ミュージック)
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS

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