『大都会-闘いの日々-』に刻まれた“昭和”の空気 石原プロドラマの原点がここに
『闘いの日々』は、暴力団専門の刑事を主人公にしていることから、黒岩に関わるキャラクターやゲストにも、暴力の渦に飲み込まれた人が多く出てくる。第4話には被害者の弟として松田優作がゲスト出演するが、主演の渡をも喰うほどの強い個性を見せるので要チェック。第2話からレギュラー入りする篠ヒロコ(現・篠ひろ子)が演じる三浦直子も、ある秘密を握られて暴力団員から脅されるエピソードで登場する。黒岩の妹・恵子が頑なに守ろうとする辛い過去も含め、現在のテレビドラマではあまりに生々しくて取り上げられそうもない暴力事件を、倉本をはじめとする脚本陣が正面から描いているのも『闘いの日々』の特色だろう。
記者クラブの面々がいつも麻雀卓を囲んでひっきりなしに煙草をふかし、刑事たちも病院の廊下だろうが病室だろうが喫煙をする。禁煙が行き届いてない時代とはいえ、画面にモクモクと煙草の白煙が充満する映像も、風呂がない安アパートで暮らす黒岩が妹と連れ立って銭湯に通う後ろ姿も、「THE 70年代!」という風情が漂い、時代を感じる。70年代は死に至る感染症だった天然痘を扱ったエピソードもあるが(第15話)、天然痘は1980年に撲滅されているため知らない世代の人もいると思う。こうした時代の空気を感じながら観るのもいいだろう。
時代を感じる、という点で時事ネタを少々。第1話のラストシーンで黒岩が読んでいる新聞に、スティーヴン・スピルバーグの『ジョーズ』の広告が大きく載っている。『ジョーズ』の日本公開は1975年12月6日で、『闘いの日々』第1話は1976年1月6日と隣接しているため、第1話の撮影は映画が公開されて間もない頃だったのだろう。第31話(最終回)では、自宅で酔いつぶれた黒岩が、当時ヒットしていた「およげ!たいやきくん」を唄っている。角刈りで硬派な渡のキャラクターと「たいやきくん」のミスマッチぶりも楽しい。石原プロ制作の第1回テレビドラマ作品という部分以外でも、お楽しみはいろいろとある『闘いの日々』。今回のアンコール放送で是非ご視聴を!
■放送情報
『大都会-闘いの日々-』
CSホームドラマチャンネルにて、3月11日(火)6:00~7:00アンコール放送スタート
1976年/全31話
監督:小澤啓一、降旗康男、村川透、澤田幸弘、山本迪夫、舛田利雄
脚本:倉本聰、斎藤憐、永原秀一、大津皓一、塩田千種 ほか
出演:石原裕次郎、寺尾聰、渡哲也、仁科明子、神田正輝、高品格、中条静夫、篠ヒロコ、小野武彦、宍戸錠 ほか
©石原音楽出版社
特設ページ:https://www.homedrama-ch.com/special/ishiharapro
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プレゼント企画
リアルサウンド映画部では、本作の放送を記念して、『大都会』スポーツタオルA(黒岩頼介)を2名様にプレゼント。応募方法は以下のとおり。
応募方法
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<応募締め切り>
3月15日(土)