優香が考える時代劇の醍醐味 「ひとつひとつが丁寧で、今の日常には全くない世界観」
「子どもの頃にはわからなかった情緒を楽しめるように」
――本シリーズは時代劇の中でも、特に人のぬくもりを感じさせる作品です。
優香:清左衛門が特にそういう魅力的な方なので。人を大事にされて、頼りになる。常に優しい理想の方だけれど、ちゃんと厳しい言葉もかけてくださる。ついていきたくなりますよね。時代劇はそういう人が必ず出てくる気がします。義理人情が気持ちいい。あと、作品を観返していて、すごく時間がゆったりしているのがステキでした。今の時代は本当に「早く早く」という感じがあるけれど、とてもゆったりしている。それを私も落ち着いて楽しめるようになったのを感じました。
――ご自身の変化も感じた?
優香:そうですね。子どもの頃にはわからなかった情緒を楽しめるようになったというか。時代劇は、昔おばあちゃんと一緒に観ていましたが、その頃はあまりよく分かっていませんでした。でも今はすごくステキだと感じます。それにゆったりだけじゃなくて、私はロケ撮影がないんですけど、今回も「欣也さん、あんなすごい崖みたいなところに行ったの!」とか、すごい映像があったり。でもやっぱり、のんびりとした間がすごく落ち着きますね。
――ちなみに現在、ご家族と一緒に出演作を観ることは?
優香:一緒には観ないですね。母とも観ないな。違うものは観ますけど、自分や旦那さんの出演作を一緒に観ることはないです。恥ずかしいです(笑)。
――改めて、北大路欣也さんの魅力を教えてください。
優香:やっぱりオーラがスゴイです。目力と肌ツヤが本当にいい。そして誰よりも姿勢がよくて、誰よりも歩くのが速いんです。 82歳になられたんですよね。本当に颯爽とされていて。ずっと変わりません。座ったときも、手もピシっとされていて。いらっしゃるだけで引き込まれるし、目に吸い込まれるような感覚になります。ちょっとした作法も「こうしたほうがいいよ」と教えてくださったり。あと手が分厚い。
――手が分厚い?
優香:手にも力があるんです。体の隅々にも力が行き渡っている感じ。別に体が大きいとかじゃないんですけど、とてもどっしりされている感じがある。姿勢なんでしょうか。いまはみんな下を向きがちですけど、欣也さんはピシっとされてみんなに「おはよう、おはよう」と気持ちよくご挨拶されて。本当に優しくてお茶目でチャーミング。会うたびにステキな方だなと感じます。
――北大路さんよりさらに年上の伊東四朗さん(87歳)、一方でお若い藤岡真威人さん(21歳)ともワンシーンずつ共演シーンがありました。
優香:伊東さんは以前『伊東家の食卓』(日本テレビ系)でお会いしたことがあるんですけど、大御所の方にお会いすると、「本当に存在してるんだ」という気持ちになりますよね(笑)。伊東さんは常にお仕事をされていて、いまも毎年舞台もされている。そうした姿勢を見習わなきゃと思います。本シリーズは、欣也さんと3人でのほのぼのとしたシーンが多いのですが、私はおふたりのやりとりをただずっと見ていたいです。藤岡さんとは、お話する機会がなかったんですけど、こうしたお若い方といぶし銀の方がひとつの作品に出られているのもいいですよね。
――そうですね。
優香:それと欣也さんが、よりイキイキとされていた気がします。お話の中でもそうでしたけど、実際、若い方が時代劇に出られていてとても嬉しいでしょうし、画面で観ていても、いつもと変わらないのだけれど、どこか欣也さんが若々しく、さらに嬉しそうに見える、そういう感じをお見受けしました。
――最後に、改めて時代劇への思いをお聞かせください。
優香:阿部サダヲさんと歌川広重のお話(2024年/『広重ぶるう』NHK総合)をやらせていただいて、そのときも京都での撮影でした。京都で時代劇を撮影するのは気持ちが引き締まりますし、とにかく嬉しいです。この『三屋清左衛門残日録』でも毎年通わせていただいて、メイクさんや衣装さんたちが「おかえりなさい」と言ってくださるんです。そうやって迎えてくださるのがすごく嬉しい。可能な限り、時代劇にはこれからも携わっていきたいと思っています。
■放送情報
『三屋清左衛門残日録 春を待つこころ』
時代劇専門チャンネルにて、3月8日(土)19:00〜ほか放送
出演:北大路欣也、優香、松田悟志、小林綾子、藤岡真威人、大友花恋、大貫勇輔、谷田歩、天宮良、金山一彦、マギー、春海四方、菅原大吉、栗塚旭、伊東孝明、田井克幸、田根楽子、伊藤麻実子、小宮有紗、本郷弦、佐藤流司、金田明夫、麻生祐未、伊東四朗
原作:藤沢周平『三屋清左衛門残日録』文春文庫刊/『三月の鮠』(文春文庫『玄鳥』所収)
監督:山下智彦
脚本:いずみ玲
音楽:栗山和樹
製作:石原隆(日本映画放送)、芳賀敏(J:COM)
エグゼクティブ・プロデューサー:宮川朋之(日本映画放送)、塚田英明(東映)
プロデューサー:秋永全徳(日本映画放送)、槌谷英孝(日本映画放送)、井元隆佑(東映)、百瀬龍介(東映)
制作:日本映画放送、東映、「三屋清左衛門残日録 春を待つこころ」パートナーズ:日本映画放送、J:COM、BSフジ
公式サイト:https://www.jidaigeki.com/mitsuya8/