歩の先輩にあたる国際山岳医で、信濃総合病院MMT（マウンテン・メディカル・チーム）に加わる江森岳人役の大森南朋は、現地ロケについて「ここに来る必然があった」と語る。映像の説得力が半端ないのが本作であり、山でのロケを含む撮影風景は、メイキングにもふんだんに収録されている。要救護者を背負って斜面を下るシーンで、杉野は山岳ガイドの指導のもとハーネスを身に付け、熱心にロープワークについて質問。「一個一個の意味を確認」するのは演技を単なる“作業”にしないためであり、代役を使わず杉野自身の実演によって迫真の映像となった。

　歩が所属するMMTは、寄せ集めのチームが使命を自覚することで一体感が生まれた。リーダーの小宮山（八嶋智人）は作中でコミックリリーフ的な役割を担っていたが、八嶋は撮影現場でも個性を発揮。本作のメイキングでもっとも目立っているのは、何を隠そう八嶋智人である。シーンが終わってもアドリブを続ける八嶋に、共演者は笑いをこらえるのに必死。主演を差し置いて芸人魂を見せる“八嶋劇場”に、いろんな意味で感嘆させられる。

　緊迫した場面が続く本作で、焼き鳥屋「しんちゃん」は定番のほっこりするシーンだ。店主で歩と典子（岡崎紗絵）の幼なじみである真吾役の向井康二は、今作のために知人の店で修行したそう。長かった撮影を通じて、スタッフ・キャストは力を合わせて暑さやヒルなどの困難を乗り越えた。オールアップ映像では、感極まった杉野が目頭を押さえる様子も。「すごく大変だった」と振り返る撮影期間は、ものづくりの難しさと楽しさを体験する「濃い4カ月」でもあった。

　「そこへ行けば、救える命がある」を掲げる『マウンテンドクター』は、私たちの脳裏に山の景色と命を守るために戦う人々を鮮やかに刻んだ。本盤を観るたびに、帰ってくる場所としてその光景が蘇るはずだ。

■リリース情報
『マウンテンドクター』
3月7日（金）Blu-ray＆DVD-BOX発売

【Blu-ray BOX】
価格：35,035円（税込）
品番：TCBD-1672
仕様：2024年／日本／カラー／本編513分＋特典映像85分／16:9 1080i High Definition／DISC1.2：2層・DISC3.4：1層／音声：リニアPCM2.0chステレオ／バリアフリー日本語字幕（本編のみ）／全11話／4枚組（本編ディスク3枚＋特典ディスク1枚）

【DVD-BOX】
価格：28,600円（税込）
品番：TCED-7726
仕様：2024年／日本／カラー／本編513分＋特典映像85分／16:9LB／片面1層／音声：ドルビーデジタル2.0chステレオ／バリアフリー日本語字幕（本編のみ）／全11話／7枚組（本編ディスク6枚＋特典ディスク1枚）

＜特典映像＞
■メイキング集
■杉野遥亮「唐松岳」撮影舞台裏
■オールアップ集

＜封入特典＞
■オリジナルブックレット

出演：杉野遥亮、岡崎紗絵、宮澤エマ、向井康二、八嶋智人、檀れい、大森南朋
脚本：高橋悠也
演出：国本雅広、高橋貴司、保坂昭一
音楽：林ゆうき
主題歌：Official髭男dism「Sharon」（IRORI Records/PONY CANYON INC.）
プロデューサー：近藤匡、大城哲也
制作協力：ジニアス
制作著作：カンテレ
発売元：カンテレ
販売元：TCエンタテインメント
©カンテレ