『おむすび』北村有起哉の名演が物語っていた“父”への思い 永吉が遺した人助けの精神

 最後まで父親への思いを表すのが不器用だった聖人。亡くなってから知る父の偉大さ、そして自分自身の心に確かにある感謝と尊敬の念に、感情が先走るといった状態を、聖人=北村有起哉の芝居から感じられる。永吉を思って明るい場にとは言っても、喪主である聖人にとっては長い間、緊張状態が続いていたはずで、しかも時間は深夜の1時。隠しきれない疲労の中で、感情がグチャグチャになる、そんな一言では説明できない思いを、言葉以上に北村の名演が雄弁に物語っていた。『おむすび』は結(橋本環奈)や歩(仲里依紗)をはじめとする登場人物ひとりひとりの物語であるというのは、多くの朝ドラと変わらないが、前週の「生きるって何なん?」、そして今週の「米田家の呪い」と、主人公のひとりとして輝いていたのは聖人だったように思う。

 3月28日の最終回まで、あとちょうど1カ月。永吉の通夜が執り行われたのは、平成31年(2019年)2月だが、平成はその年の4月30日で終わりを告げ、5月1日からは元号が令和となる。つまり、第22週「理想と現実って何なん?」からは令和の『おむすび』が描かれていくこととなるだろう。

■放送情報
連続テレビ小説『おむすび』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:橋本環奈、佐野勇斗、仲里依紗、麻生久美子、北村有起哉
語り:リリー・フランキー
主題歌:B'z「イルミネーション」
脚本:根本ノンジ
制作統括:宇佐川隆史、真鍋斎
プロデューサー:管原浩
写真提供=NHK

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