RADWIMPS、朝ドラ『あんぱん』主題歌の必然性 『君の名は。』に続くターニングポイントに
2025年度前期放送のNHK連続テレビ小説『あんぱん』の主題歌がRADWIMPSの「賜物」に決定した。
RADWIMPSはこれまで多くの映像作品で劇伴を手がけ、結成から現在まで数々のヒット曲を生み出してきた。そんな彼らの大きなターニングポイントとなったのは映画『君の名は。』だろう。興行収入250.3億円の大ヒットを記録した新海誠監督の出世作でもある同作で、RADWIMPSは「前前前世」「スパークル」「夢灯籠」「なんでもないや」を提供。作品の登場人物やストーリーに寄り添い物語を彩るRADWIMPSの音楽性は高く評価され、作品のヒットとともに彼らの楽曲も脚光を浴びる。
2019年には映画『天気の子』の主題歌「愛にできることはまだあるかい」「グランドエスケープ feat. 三浦透子」「風たちの声」「祝祭 feat. 三浦透子」「大丈夫」、2022年には映画『すずめの戸締まり』の主題歌「すずめ feat. 十明」「カナタハルカ」と三たび新海監督作品とタッグを組んでおり、RADWIMPSの音楽は新海監督作品と切り離せない存在となっている。
新海監督作品以外にも、メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』をもとに、現代日本を舞台としたラブストーリー『フランケンシュタインの恋』(日本テレビ系)の主題歌「棒人間」や東大卒のパラリーガル「石子」こと石田硝子と、高卒の弁護士「羽男」こと羽根岡佳男がお互いのコンプレックスに向き合い成長していく姿をコミカルに描いたドラマ『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』(TBS系)の主題歌「人間ごっこ」から、ABEMAオリジナル恋愛リアリティーショー『オオカミくんには騙されない』の主題歌「そっけない」やABEMA『恋する♥週末ホームステイ 2021秋 沖縄』の主題歌「桃源郷」などの恋愛リアリティショーまで幅広いジャンルの主題歌を担当し、老若男女から広い支持を集めてきた。
だからこそ、『あんぱん』の主題歌をRADWIMPSが担当するニュースを耳にしたとき、安心感とともに、今回はどのような音楽で彩ってくれるのだろうかという期待が湧き上がった。『あんぱん』は、『アンパンマン』を生み出したやなせたかしと小松暢の夫婦をモデルとした勇気の物語。野田洋次郎は「朝、出たくない布団から這い出す力が湧くような“効き目”があること」「のぶに負けぬ瑞々しい生命力を持った曲であること」「挑戦と冒険をすること」を主眼に作ったことを明かしており(※)、「賜物」というタイトルからも、困難の先にある温かみや豊かさを連想させる。人の人生に寄り添って音楽を生み出していくのは野田洋次郎の得意とするところだ。野田の儚くも切ない歌声とRADWIMPSの繊細なストリングスが奏でる音楽は、どのようにして物語に寄り添うのだろうか。