実在したヒゲの女性から着想 第76回カンヌ映画祭ある視点部門出品『ロザリー』5月公開

 第76回カンヌ国際映画祭ある視点部門に正式出品されクィア・パルム賞にノミネートされた映画『Rosalie(原題)』が、『ロザリー』の邦題で5月2日より新宿武蔵野館ほかで全国公開されることが決定した。

 フランスに実在したヒゲを生やした女性クレマンティーヌ・デレに着想を得て生まれた本作は、ヒゲを隠すことをやめ、ありのままに生きた1人の女性の物語。『ザ・ダンサー』で第69回カンヌ国際映画祭ある視点部門に出品されデビューを飾ったステファニー・ディ・ジューストが監督を務め、フランソワ・オゾン監督作『私がやりました』にも出演したナディア・テレスキウィッツがロザリー役を演じたほか、『ピアニスト』や『ポトフ 美食家と料理人』などのブノワ・マジメルがロザリーの夫であるアベル役を務めた。

 ロザリー(ナディア・テレスキウィッツ)は、生まれた時から多毛症に悩まされていることを隠して生きてきたが、田舎町でカフェを営むアベル(ブノワ・マジメル)と結婚し、店を手伝うなかで「ヒゲを伸ばした姿を見せることで、客が集まるかもしれない」というアイデアをひらめく。はじめは彼女の行動に反対し嫌悪感を示したが、その純粋で真摯な愛に次第に惹かれていくアベル。果たして、ロザリーは本当の自分を愛される幸せと真の自由を見つけられるだろうか。

『ロザリー』日本版予告編

 公開された日本版予告編では、体毛をひた隠しにして結婚したロザリーが借金を返すためひと肌脱ぎ、「ヒゲのマダムがいる」ことを売りにカフェを繁盛させるシーンが捉えられている。自分らしく生き、ありのままで愛されたいというロザリーの姿勢は、閉鎖的なコミュニティの小さな村では良くも悪くも周囲に波紋を呼ぶことに。ラストは「これは、ありのままに生きた一人の女性の、勇気ある物語」というナレーションで締められている。

 日本版ポスターには、「隠さなければ、いいじゃない」というキャッチコピーとともに、体毛を剃らないことで自分自身を取り戻したロザリーが、笑顔で真っ直ぐこちらを見据えた姿が描かれている。

ステファニー・ディ・ジュースト(監督・脚本)コメント

父が亡くなり、虚無感と焦燥感を抱える中、「髭の生えた女性」として有名だったクレマンティーヌ・デレという女性が私の心を掴みました。見せ物となるのを拒絶し、1人の女性として人生を歩む欲求を誰よりも持っていたことを知り、時代の偏見に抗い女性らしさを貫く主人公ロザリーが誕生しました。他人と自分を愛することがロザリーの闘いです。本作を通して無条件の愛、自己受容・自己創造の自由を描くために、髭が不可欠な要素となっています。

■公開情報
『ロザリー』
5月2日(金)より、新宿武蔵野館ほかにて全国順次公開
出演:ナディア・テレスキウィッツ、ブノワ・マジメル、バンジャマン・ビオレ、ギヨーム・グイ、ギュスタヴ・ケルヴェン、アンナ・ビオレ
監督・脚本:ステファニー・ディ・ジュースト
脚本協力:サンドリーヌ・ル・クストゥメル
配給:クロックワークス
2023年/フランス・ベルギー/フランス語/115分/シネマスコープ/5.1ch/原題:Rosalie/字幕翻訳:大城哲郎/PG12
©2024 – TRÉSOR FILMS – GAUMONT – LAURENT DASSAULT ROND-POINT - ARTÉMIS PRODUCTIONS
公式サイト:https://klockworx.com/rosalie
公式X(旧Twitter):@rosaliemovie

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