この岡田将生に“恐怖”すら感じる 『虎に翼』とは対極な『御上先生』でのヒール役
そんなところへ登場したのが槙野恭介だ。彼は星航一とは対極にあるキャラクターだろう。『御上先生』におけるヒール役だともいえる。しかも、本作への岡田の出演が発表されたのは、放送開始の2日前のこと。これには驚いた。そのうえヒール役なのだから、驚きは2倍である。
ところで、岡田の代表作といえば何だろうかと考えたとき、どの作品が思い浮かぶだろうか。キャリアの初期でいえば、甘酸っぱい青春模様を描いた『天然コケッコー』(2007年)や『ハルフウェイ』(2009年)か、あるいは、身勝手で残酷で軽薄な大学生を演じた『悪人』(2010年)か。近年でいえば多くの映画ファンが『ドライブ・マイ・カー』(2021年)を挙げるだろう。国内外で大きな話題を呼び、高く評価された作品でもあるのだから。
だが私はやはり、2024年に公開された映画『ゴールド・ボーイ』を挙げたい。岡田がサイコパスな殺人鬼を演じた作品である。彼は主演俳優でありながら、役の内面を観客に対しても隠し通し、言動の次の一手が読めないキャラクターを立ち上げていた。主演俳優でありながら、性格俳優でもあると証明してみせた本作こそ、彼の真の代表作なのだと断言したい。そしてこの作品の印象が鮮烈だったからこそ、『御上先生』における岡田のダークな演技に対して私はあまり驚かなかった。むしろ『虎に翼』からの振り切れ具合に「さすが演技者!」「これぞ演技者!」と歓喜したくらいだ。
ときには観客/視聴者の期待に応え、またときには鮮やかに裏切ってみせる。それが真の演技者だ。本作の岡田はダークなまま突き進むのだろうか。それとも、そのクールな表情を崩すような展開が待っているのだろうか。
「日本の教育を変えてやろう」という熱意を持ったエリート文科省官僚が高校教師となり、令和の18歳とともに、日本教育にはびこる権力争いや思惑へ立ち向かうオリジナル学園ドラマ。
■放送情報
日曜劇場『御上先生』
TBS系にて、毎週日曜21:00~21:54放送
出演:松坂桃李、奥平大兼、蒔田彩珠、窪塚愛流、吉柳咲良、豊田裕大、上坂樹里、髙石あかり、八村倫太郎、山下幸輝、夏生大湖、影山優佳、永瀬莉子、森愁斗、安斉星来、矢吹奈子、今井柊斗、真弓孟之、西本まりん、花岡すみれ、野内まる、山田健人、渡辺色、青山凌大、藤本一輝、唐木俊輔、大塚萌香、鈴川紗由、芹澤雛梨、白倉碧空、吉岡里帆、迫田孝也、臼田あさ美、櫻井海音、林泰文、及川光博、常盤貴子、北村一輝
脚本:詩森ろば
脚本協力:畠山隼一、岡田真理
演出:宮崎陽平、嶋田広野、小牧桜
プロデュース :飯田和孝、中西真央、中澤美波
教育監修:西岡壱誠
学校教育監修:工藤勇一
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/mikami_sensei_tbs/