新人賞：結川あさき

　“新人”と感じる範囲は人それぞれでしょうが、2022年にアイムエンタープライズに所属したばかりの結川あさきさんは新人と言い切っていいでしょう。2024年はオーディション初合格作となる『逃げ上手の若君』の北条時行を筆頭に、何かと話題を呼んだ『トラペジウム』の東ゆうや『となりの妖怪さん』の杉本睦実といった印象的な主人公を演じていました。「往時の佐倉綾音さんや本渡楓さん級の売れ方」という声もあがるほどのブレイクで、2025年以降の活躍にも注目です。

特別賞：井口裕香

　声優の本分は演技でしょうが、それ以外にも活躍のフィールドを広げているのはみなさんご存知のとおり。そういった点でも2024年は井口裕香さんの活躍が見逃せません。12年ぶりに写真集の発売がヒットしたのを機に『週刊プレイボーイ』のグラビアを飾るなど露出を増やし、「Yahoo!検索大賞」でも声優部門で上位となり、写真集は『週刊プレイボーイ』のECサイトが選ぶ「グラジャパ！アワード2024」で最優秀作品賞にも選ばれました。

　ほかにも声優としてメイン級を多数演じながら、バラエティ番組などでも輝いた前田佳織さんも特筆ものでした（特に「なんでも鑑定団」出演回はすごかった）。

作品賞：『疑似ハーレム』

　最後の作品賞では、声優さんの扱いがユニークだったアニメを表彰。いくつかあった声優さんが深く関わるアニメでも断トツの充実度だった『エグミレガシー』や旧作から多くのキャストを続投させたベテラン揃いの『らんま1/2』、メインキャラクターの声優を変えて4種類放送／配信されるというというユニークな試みの『殿と犬』なども印象的ですが、2024年は『疑似ハーレム』でしょう。

　同作はマンガのようなハーレム状態に憧れる北浜瑛二先輩と、彼に思いを寄せるあまり、つい“キャラ”を演じてしまう演劇部のホープの七倉凛によるラブコメです。この凛を担当したのが早見沙織さんで、ツンデレちゃん、小悪魔ちゃん、クールちゃんなど多彩なキャラを瞬時に切り替えて先輩の求めに応じます。これがどんなキャラもさすがに達者で、声優さんの底力を存分に見せつけられる快作でした。2025年もこれらの作品のように、声優さんの魅力を感じられるアニメに期待したいところです。