二宮和也と竹内涼真、抜群のコンビネーション 『ブラックペアン シーズン2』特典は必見!

 ドラマでも映画でも、続編というものは数多く作られてきたが、前作から地続きになった物語が描かれる一方で、主人公は別の新たなキャラクターに置き変わり、主人公以外の登場人物/キャストはそのまま続投し、にもかかわらず“主演俳優”は変わらないという作品が、いったい何本あっただろうか。2018年4月期にTBS日曜劇場で放送された『ブラックペアン』の続編として、2024年7月期に同枠で放送された『ブラックペアン シーズン2』は、それらの条件をすべて満たした、まさに“異例の続編”と呼べる作品である。放送終了からおよそ3カ月。本作のBlu-ray&DVD-BOXが12月25日に発売を迎える。

 海堂尊の小説シリーズを原作にした、この『ブラックペアン』。シーズン1では二宮和也演じる“オペ室の悪魔”こと渡海征司郎を主人公に、彼が東城大学医学部付属病院でその圧倒的なオペ手腕を見せつけながら、数年前に医療過誤の濡れ衣を着せられてこの病院を去った父親の復讐を果たそうとする姿が描写された。そのラスト、渡海は病院を去っていくことになる。シーズン2ではそれから6年後、渡海の薫陶を受けた研修医の世良(竹内涼真)が医師へと成長を遂げ、病院長となった佐伯(内野聖陽)からある使いを頼まれるところから物語が始まる。

 それはオーストラリアの心臓外科学会に出席し、現地の天城雪彦という医師に一通の手紙を渡すこと。世良はやっとの思いで天城の居場所を突き止めるが、ついに対面を果たした天城は、なんと渡海と瓜二つの見た目の持ち主であった。しかも手術の腕は確かである一方、患者に全財産の半分をかけさせて“シャンス・サンプル(二者択一)”を要求する生粋のギャンブラーで、まさに悪魔のような男だったのである。もちろんこの天城を演じているのも二宮であるが、髪は金髪で、渡海とは表情の作りかたがまるで対照的なのである。

 このシーズン2も、医療ドラマ特有のストーリー運びをする点はシーズン1と同様だ。各エピソードに難解なオペを必要とする患者が登場し、それを天才医師である天城が見事に処置していく。その積み重ねを動力としながら、今シーズンでは“ジュノ”の愛称と共に天城の相棒として動く世良の成長譚や、病院内で繰り広げられるいわゆる院内政治の模様が展開していき、天城の謎めいたバックグラウンドが明らかにされるクライマックスへとたどり着くことになる。そういった意味では“医療エンターテインメント”とされるジャンルのど真ん中を貫く作品であるのだが、往々にしてそのジャンルの見せ場として用いられるオペシーンが、極めて特殊な点は興味深い。

 原作ではかなりイレギュラーのものとして描かれた“公開オペ”なるイベントが毎回のように繰り返され、そこで起こるトラブルと、その解決の道筋にまである種の決まりきったパターンが用意される。それだけ聞くと単調なイメージに捉えられてしまうかもしれないが、オペというものに過剰なドラマティックを要求することなく、限りなく端的でさらりとしたものに見せることが、天城という医師の風変わりな側面と、彼が天才たるゆえんをより強固なものにしていくのだ。

 世界で天城にしかできないというダイレクトアナストモーシスなる術式も然り、前作に登場した「スナイプ」や「ダーウィン」と同様、最新鋭の医療技術である医療用AI「エルカノ」を巧みに手懐ける姿も然り。ひとりの天才の手腕に依存することを否定する代わりにAIに依存することが果たして正解なのだろうかという、このドラマが掲げる命題は、医療の分野にとどまらず現代社会における非常に喫緊かつ重要なテーマのひとつといえるだろう。そういった意味では、従来の医療ドラマないしは医療エンターテインメントの範疇を超えた意義が、このドラマには備えられているのである。

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