田畑志真、『おむすび』で大飛躍のチャンス 朝ドラで“幼なじみ”が担う重要な役割

 広く知られているように、「朝ドラ」こと「連続テレビ小説」は、若い才能が世に羽ばたいていく重要な場となっている。「朝ドラ」で特定の俳優を認識したという視聴者は少なくないだろう。しかもこれが彼ら彼女らにとって、大きな飛躍の場にもなり得る。「朝ドラ」への出演以降、活躍の機会が一気に増えた存在を思い出してみてほしい。

 では、放送中の朝ドラ『おむすび』(NHK総合)には誰がいるだろうか。とりわけ若い俳優に注目してみると、田畑志真がいる。ヒロイン・米田結(橋本環奈)の幼なじみの佐久間菜摘を演じている俳優である。

 本作は、平成元年生まれの結が、“ギャルマインド”を持つ栄養士として、食と人と未来とをつないでいく青春ストーリー。物語は福岡県の糸島からはじまり、現在は結にとって本当の生まれ故郷である神戸にて、にぎやかな日常が展開しているところだ。6歳で糸島に移住した結には古賀陽太(菅生新樹)という幼なじみがいるのだが、田畑が演じる菜摘は神戸の幼なじみだというわけである。

 「朝ドラ」において“幼なじみ”のポジションは重要だ。たとえ主人公とはまったく別の道を歩むことになったとしても、いずれ彼ら彼女らが大きな支えとなる瞬間がやってくる。作り手サイドのことを想像してみたとき、このポジションを任せられる存在がどれだけいるものなのか。

 たとえば、『なつぞら』(2019年度前期)は歴史ある「朝ドラ」の第100作目ということもあってか、広瀬すずが演じる主人公の幼なじみたちは、磐石の布陣だった。吉沢亮や山田裕貴など、すでに日本のエンターテインメント界の中心に立ちつつある若手俳優陣が配されていたのだ。後の展開で登場してくる若手たちも一人ひとりが強力だったことも記憶に新しい。

 神木隆之介が主演を務めた『らんまん』(2023年度前期)でこのポジションを担っていたのは志尊淳だった。この時点での彼の「朝ドラ」への参加は2度目。すでにいくつもの映画やドラマで主演を務めた経験があり、彼ならば若きベテランである神木の相方を務められるはずだろうと確信したものである。

 それでは、『おむすび』における田畑はどうか。本作で彼女の存在を知った方は、かなり多いのではないだろうか。それは当然といえば当然のことで、彼女はまだ10代の俳優なのである。「朝ドラ」への出演はこれが初で、そもそもまだ出演作が多くはない。まさに“これから”の俳優なのだ。

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