一方、「彼氏を支えるために栄養のことを学びたい」という結に嫌悪感を示したのは、山本舞香演じる矢吹沙智。宇佐川は「2007年当時、まだまだスポーツ栄養士はそれほど知られる存在ではなくて。2008年の北京オリンピックで金メダルをとった女子ソフトボールに帯同された方がいらっしゃいましたが、基本的には個人で取り入れる方がいた程度で、プロ野球でも積極的に専門の栄養士を採用する時代ではまだなかったんです。これはいわゆる栄養士の歴史でもあるので、まさに2007年、スポーツ栄養士の“夜明け前”というところを描きたいと思いました」と、スポーツ栄養士をフィーチャーした理由を説明。さらに、「そんな沙智には、やはり芯の強さが必要なんですよね。彼女にもある過去があり、そこを表現できる方と思ったときに、一番に浮かんだのが山本舞香さんでした」と振り返る。

「『恋は雨上がりのように』で演じられた“生意気な”陸上部員役なども拝見してオファーさせていただきましたが、ご本人にお会いすると非常に物腰柔らかで、『自分が朝ドラに出ていいんだろうか』と。またとても気を使われる方で、方言一つとっても細かい練習を何度もされている姿を見たときに、最初に抱いていた“芯の強さ”“強気”というイメージに、“やさしさ”と“熱”が加わりました。山本さんの、愚直なまでの芝居に対する取り組みを見て、より沙智に息吹、命が入ったと感謝しております」

　さらに、宇佐川は「沙智が抱えているものは簡単なものではないので、それをどう表現するかなど、撮影を楽しみにしていました。山本さんは、最初から自然と沙智に馴染んでいた。もちろん裏側ではいろいろと心配されたり、練習されたりしていますが、そこで出てきたお芝居が、沙智そのものだったんです」と絶賛する。

　山本は本作で朝ドラ初出演。「橋本さんと以前から仲が良いのは知っていました。撮影でも、橋本さんがいらっしゃることに安心されていたと思います。山本さんの中にも、橋本さんが座長であるドラマを盛り上げたいというお気持ちが強くあったと思います。非常にありがたいなと思いますし、改めて優しい方だなと。同級生役のみなさんもすぐに打ち解けて、本当にクラスメイトのように会話をされています。ハギャレンの雰囲気とはまた違う、“年齢関係なく仲間だ”といったかたちで、みなさん和やかに過ごされています」と現場の様子を明かした。

　たしかな演技力を持つキャスト陣が作り上げた個性豊かなキャラクターに囲まれ、夢への第一歩を踏み出した結。まだまだ前途多難だが、班のメンバーとどのように絆を築いていくのか楽しみにしたい。

■放送情報
連続テレビ小説『おむすび』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送／毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送／毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送／毎週土曜10:15～11:30再放送
出演：橋本環奈、仲里依紗、北村有起哉、麻生久美子、宮崎美子、松平健、佐野勇斗、菅生新樹、松本怜生、中村守里、みりちゃむ、谷藤海咲、岡本夏美、田村芽実ほか
語り：リリー・フランキー
主題歌：B'z「イルミネーション」
脚本：根本ノンジ
制作統括：宇佐川隆史、真鍋斎
プロデューサー：管原浩
写真提供＝NHK